<連載>6G時代の新・業界地図激化する6G特許競争 日本は「オール光」で巻き返せるか

6Gを巡る特許競争では米中が先行し、日本は出遅れているのが現状だ。日本の強みである「オール光ネットワーク」でどこまで存在感を高められるかが、今後の巻き返しに向けた重要なポイントになりそうだ。

2030年の実用化が見込まれている6Gを巡り、各国の企業や研究機関による技術開発や特許出願の競争が一段と激しさを増している。

6Gの標準化はこれから本格化する段階であり、どの特許が「標準必須特許」(SEP:標準規格に準拠した製品やサービスの製造・供給に不可欠な特許)となるかは未だ定まっていないのが現状だ。

ただ、自社技術を国際標準に組み込めるかどうかは、単なる技術的優位性にとどまらず、将来的なライセンス収入にも直結する。6Gを巡る特許競争は、各社の収益構造や産業競争力そのものを左右する重要な戦いになりつつある。

特許件数は中国が圧倒

先行しているのは中国と欧米だ。情報通信分野の調査会社であるサイバー創研によれば、6G関連特許の累計件数はグローバルで約1万3000件(2025年末時点)に達し、中国が約43%、米国が約20%、欧州が約14%を占める。これに韓国(約10%)が続き、日本のシェアは約8%と後塵を拝している状況だ(図表1)。

図表1  主要国・地域別に見た 6G-NW 特許出願動向

図表1  主要国・地域別に見た 6G-NW 特許出願動向

調査・分析を担当した同社 取締役の齋藤孝文氏によると、中国では一定数の特許を出願すると、研究開発費の追加控除や税制優遇を受けられる仕組みがある。米国では大企業が有望な技術を有するスタートアップの買収を通じて知財を取り込み、自社の通信技術や標準化戦略に生かすエコシステムができあがっているそうだ。

サイバー創研 取締役 齋藤孝文氏

サイバー創研 取締役 齋藤孝文氏

企業別の出願シェアに目を向けると、1位はファーウェイ(7.9%)で、クアルコム(6.8%)、エリクソン(6.2%)、ノキア(5.9%)、サムスン(4.8%)が続いた。国内勢では、NTTドコモ(2.5%)が10位にランクインしている(図表2)。齋藤氏によれば、5Gでもファーウェイ、クアルコム、ノキア、エリクソンなどが特許競争をリードしており、上位8社で特許全体の5割強を占めている。その構図は、6Gでも大きくは変わっていない。

図表2 主要プレイヤーの動向①

図表2 主要プレイヤーの動向①

各社の注力分野にも特徴が見られる。今回の調査では個々の具体的な技術内容にまでは踏み込んでいないものの、ノキアなどの欧州勢はNTN(非地上系ネットワーク)、ファーウェイやサムスンはAI/ML(機械学習)、クアルコムはIoT関連に重点を置いている(図表3)。

図表3 主要プレイヤーの動向②

図表3 主要プレイヤーの動向②

国内企業に限ると、上位5社はNTTドコモ、NEC、ソニー、富士通、シャープとなった。富士通はAI/ML、ソニーとシャープはNTN、NTTドコモとNECはネットワークの省電力化に資する技術の特許出願が多いという。標準化で注目が集まった省電力化技術は、「NTTドコモが2022年に集中的に特許出願しており、この分野で一定のプレゼンスを発揮できている」と齋藤氏は評価する。

なお、ファーウェイやノキア、エリクソンも同時期に集中出願を行っている。母数となる特許件数が異なるため単純比較はできないものの、グローバルベンダーは省電力化技術の比率が10%前後にとどまる一方で、ソニーを除く国内4社は約20%となっており、日本企業が相対的に高い比率を示している。

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