既存のテレビ会議やWeb会議は“帯に短したすきに長し”
営業現場での情報提供と並んでMeiji Seika ファルマが力を注いでいるのが、社内の情報共有スピードの向上だ。医薬品の開発・販売には多くの法的規制があるが、守るべき規定は技術の進歩や法律の改正により常に変化している。変化に迅速に対応できる企業でいるためには、情報共有のスピードアップが欠かせないと吉田氏は言う。
「例えば法律が変われば販売戦略も変わりますし、営業現場で提供すべき情報も変わります。戦略を共有したり、MRに必要な教育を行なうことに時間をかけていては対応が遅れてしまいます」
こうした社内の情報共有についても、ITの力を使ってスピードアップできないか――。Meiji Seika ファルマでは数年にわたり、いくつもの製品・ソリューションを検討したが、しっくりくるものはなかなか見つからなかったという。
本社と各営業所を結び、本社の担当者が直接、情報提供する仕組みとして、まず目を向けたのはテレビ会議システムだった。しかしシステムが大掛かりで高価なうえ、会議室に据え置きされるため、使える場所が限定されてしまうことが課題視された。
次に検討されたのは、Web会議システムだった。PCさえあればどこからでも参加できるので、その時間に空いている会議室を柔軟に使えるのが魅力だ。しかし品質面ではテレビ会議に遠く及ばなかった。
「製品の検討期間は3年近くに及んでいました。比較的容易に短時間で導入でき、低コストなサービスや製品を探しましたが、どの製品も“帯に短したすきに長し”といった状況で、決め手に欠いていました」
そうしたなか目に留まったのが「KDDI TeleOffice」を紹介した新聞記事だった。KDDI TeleOfficeは、高画質なビデオコミュニケーション機能を持ちながら、低コストで導入できるクラウド型サービスである。
吉田氏はすぐにKDDIにコンタクトを取り、実際のサービスに触れてみることにした。インターフェイスがきちんと作り込まれていてiPadからでも使いやすいのが印象的だったと、吉田氏はトライアル当時を振り返る。
「他にもiPadから利用できる製品はありましたが、基本的にはPCベースで開発されているため、使い勝手はあまりよくありませんでした。その点、KDDI TeleOfficeは初めからスマートデバイスを意識して開発されたことが感じられる、使いやすいインターフェイスに仕上がっていましたね」
十分な画質でありながら専用機材は不要。各営業所には、すでにiPadが配布されているため、大きな初期投資も必要ないという好条件が重なり、数回のトライアル後に導入を決定した。