ワイヤレスジャパン2014の基調講演にはNTTドコモ取締役常務執行役員ネットワーク担当ネットワーク部長の徳広清志氏が登壇、「移動通信の将来像とドコモのネットワーク戦略」をテーマに講演した。
NTTドコモ取締役常務執行役員ネットワーク担当ネットワーク部長の徳広清志氏 |
スマートフォンの普及に伴い、モバイルデータトラフィックは増加の一途をたどっている。ドコモでは、この増加傾向は今後も続くと想定しており、LTE「Xi」のネットワークを強化しているところだ。
それによると、ドコモのLTEは800MHz、1.5GHz、1.7GHz、2GHzと4つの周波数帯を利用する“クアッドバンドLTE”で、それぞれの特性を活かしながら効率よく利用することで、「広さ」「速さ」「快適さ」を実現しているという。
また、設備投資ではLTEにリソースを集中しており、2013年度の3878億円から、今年度は4650億円へと大幅に投資額を増やす計画。これにより、LTEの基地局数は2013年度末の5万5300局から、今年度末には9万5300局と約1.7倍に増える見込みだ。このうち100Mbps以上に対応した基地局は順次拡大しており、今年度末に4万局となる予定だという。
こうした取り組みが奏功し、第三者機関による満足度調査では、エリアや通話品質、通信品質で1位を獲得。また、データ通信のダウンロード速度でも1位となった。徳広氏は「これまで他社に押され気味だったが、今年度にはLTEネットワークがほぼ完成する。アップロードの通信速度でも1位になれるのではないか」と語った。
ネットワークの発展は今後も続き、6月下旬からは、LTEを活用した通話サービス「VoLTE」を開始する。3Gと比べて周波数利用効率が3倍向上することで、高音質通話やスピーディーな発着信といった特長があるという。
他方、データ通信については、2020年代には2010年と比べて1000倍のトラフィックとなる可能性がある。そうしたなか、ネットワークはLTE-Advanced、5G(第5世代次世代移動通信)と進化していく。LTE-Advancedは、キャリアアグリゲーション(CA)を適用することで伝送速度を向上させることが可能で、ドコモでは今年度中に225Mbpsの商用サービス開始を目指している。
さらに、世界の主要ベンダーと協力して5Gの開発を推進している。下り最大10Gbpsまで拡張する予定で、2020年のサービス提供を目標に掲げる。徳広氏は「2020年に向けて世界最高のネットワークを作っていきたい」と意気込みを語り、講演を締めくくった。