スループットだけでは不十分、1000億の端末が円滑につながる環境を作りあげる通信ベンダートップに踊り出たファーウェイが描くネットワーク戦略

通信インフラグローバルベンダートップのエリクソンを売上高で抜いた中国・ファーウェイが、LTE-Advancedに向けたビジネスで攻勢をかけている。これを支えているのが、意欲的な開発投資と通信事業者との共同開発体制だ。日本法人で通信インフラ事業を所管する周 明成副社長にLTE-Advanced/5G時代に向けた戦略を尋ねた。


――ファーウェイの2013年度の売上高は約400億ドル(約4兆1371億円)となり、通信インフラトップのエリクソンの353億ドルを上回りました。要因はどこにあったのでしょう。

 400億ドルというのは、ファーウェイの3つの事業グループをまとめた数字ですから、安易に売上高でエリクソンと弊社を比べることはできないのではないでしょうか。70%を占める主力の通信事業者向けネットワーク事業の売上が前年比4%の伸びを確保した上、24%を占める端末事業が前年比17.8%増、新分野の法人向けのICTソリューション事業も前年比32.4%増と高い伸びを示し、各事業がバランス良く成長できたことが良い決算につながったのだと思います。

キャリア向けネットワーク事業を伸ばせた理由の1つに、2012年に打ち出した「パイプ戦略」――無線アクセスやIPコアネットワークなど通信事業者が必要とするネットワークインフラの提供にフォーカスする戦略が具体化できる製品/サービスが揃ってきたことが挙げられると思います。

もう1つ大きな要因に世界の大手通信事業者の信頼を勝ち得てビジネスを強化する戦略が奏功したことがあると思います。当社は世界の上位50社の通信事業者のうち45社にサービス・製品を提供していますが、2013年はこの売上比率が前年から1.8ポイント上昇し77%になりました。通信キャリアの投資は大手に集中していて上位50社で全体の8割を占めています。これを当社の成長に取り込むことができたのです。

図表1 パイプ戦略による継続的な成長
図表1 パイプ戦略による継続的な成長

――通信インフラ事業の売上も約274億ドル(約2兆8821億円)になっています。エリクソンを追い抜くことも視野に入っている。

 可能性はあると思います。今年1月末で世界のLTEは263の商用ネットワークが稼働していますが、ファーウェイの基地局装置はそのうち118に採用されトップの位置にあります。契約ベースでは、昨年末までに累計で280、昨年1年間だけでも142の受注をいただきました。我々はエリクソンとともにLTE市場を牽引する立場にあり、これを軸に通信インフラビジネスをさらに伸ばせると考えているのです。

図表2 世界のLTE市場を牽引
図表2 世界のLTE市場を牽引

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