大きな変革のときを迎えているデータセンターネットワーク――。ネットワークベンダー各社は「SDN」をキーワードに解決策を提供しようとしているが、これとは一線を画すかたちでシスコが提案するのが「Application Centric Infrastructure」(ACI)である(関連記事)。
シスコシステムズは2014年4月15日に開催した記者説明会の中で、ACIに関するアップデートを行った。
サウスバウンドAPI「OpFlex」をIETFで標準化
ACIは、アプリケーション中心のネットワークインフラを実現するものだ。アプリケーションに必要な要件を記述したポリシーを定義しておくだけで、インフラのプロビジョニングを自動で行えるため、アプリケーションの展開を効率化できるという。仮想マシンだけでなく物理的なワークロード(ベアメタル)、多くのハイパーバイザーに対応するのも特徴である。
ACIは、コントローラの「Application Policy Infrastructure Controller」(APIC)、データセンター向けスイッチの「Nexus 9000シリーズ」、そしてサードパーティのロードバランサーやファイアウォールなどで構成されるが、今回そのサウスバウンドAPIである「OpFlex」が発表された。
OpFlexの概要 |
OpFlexはAPICと様々なベンダーの仮想/物理スイッチ、L4-7デバイスとのインターフェースとなるプロトコルで、シスコ本社のシニアバイスプレジデントであるフランク・パルンボ氏は「シスコだけが仕様を書いているわけではない」とオープンな取り組みであることを強調した。現在、F5ネットワークスやシトリックス・システムズ、マイクロソフト、IBMなど8社と共同で、IETFでの標準化に取り組んでいるという。
OpFlexの標準化作業に参加するベンダー一覧 |
SDNのサウスバウンドAPIといえば、OpenFlowが有名だが、「OpneFlowは非常に細かいところまで命令しないといけない。このため、ある程度のスケーラビリティが必要な場合は、管理が難しくなる。こういうこともあり、OpenFlowは普及が進んでいない、あるいは大規模な環境では使われていない」とプロダクトマネージャの及川尚氏は解説。
対してACIおよびOpFlexは、「非常にシンプルなポリシーを定義するだけで、あとはコントロールプレーンとデータプレーンが自動でやってくれる」とその優位性を強調した。