「ローカル5Gと改善文化の融合」 リコーインダストリーの工場DX

リコーインダストリーが2021年から活用してきたローカル5Gのシステムを一新した。360°映像配信やAI活用で生産現場の革新を進め、地域連携も視野に入れた次世代工場の姿を追う。

リコーグループにおける生産関連会社として、プリンター・複合機およびその主要部品の製造を担うリコーインダストリー。中でも宮城県柴田町に位置する東北事業所は、オフィス商用印刷向けの大型プリンター・複合機を生産する中核拠点だ。

リコーインダストリー東北事業所

同事業所では、大型重量物の部品を人手で組み立てることによって高画質・高機能の製品製造を実現している。そのために、創業当時から続けてきたのが「KAIZEN活動」である。現場で発生するさまざまな問題や課題に対して、IE(Industrial Engineering)やQC(Quality Control)などの手法を活用しながら、生産効率の向上につながる活動で、発表会は今年で110回目を迎えた。

近年では工場DXの一環として、DM(デジタルマニュファクチャリング)も推進している。作業記録や生産進捗、品質データなどをデジタル化し、現場改善に活用する取り組みだ。DMを加速するため、13領域・44のモデル業務を定義したフレームワークを策定したが、その推進においてはデータ収集のための無線通信環境が課題となったという。生産現場には多くの人と生産設備、PC、スマートフォンに加え、Bluetooth機器、RFIDなど、2.4GHz帯を利用する多数のデバイスが稼働していた。

リコーインダストリー プリンタ生産事業部 技術革新室 室長の齋藤大樹氏は、「5GHz帯への振り分けやチャンネルの整理などの対策を講じてきたが、電波干渉による通信の不安定性は依然として課題だった」と語る。特に今後のDMのさらなる推進においては、より多くのデバイスとの連携が不可欠であり、既存のWi-Fi環境では帯域の逼迫により新規デバイスの追加が困難な状況に直面していた。

ローカル5Gで工場DXを加速

こうした課題を踏まえ、同事業所では東北総合通信局管内で初となるローカル5G無線局の免許を取得し、2021年3月からローカル5Gの運用を開始した。齋藤氏が強調するのは「ローカル5Gは手段であり、目的ではない」という考え方だ。「我々の目的は生産性向上、品質向上、リードタイム短縮、働きやすさ向上。ローカル5Gはそれを実現するための手段」。同社では、5G技術を活用してワークプレイスDXを実現することを目標に掲げており、オフィスやリモートではキャリア5G、工場現場ではローカル5Gなどを活用し、デジタル空間と現場をつなぐ変革を進めている(図表1)。

図表1 リコーインダストリーの5G活用の考え方

図表1 リコーインダストリーの5G活用の考え方

ローカル5Gの導入初期は、性能面や運用面で苦労も多く、「平均連続稼働時間が48時間程度で、復旧に数日から数週間を要した時期もあった」。システムの2基体制による冗長化や、停波頻度の低減など、試行錯誤を重ねながら安定運用を実現してきたが、NECネッツエスアイのオールインワン・コア一体型ローカル5Gシステム「HYPERNOVA」を2025年4月に新しく導入し、ローカル5G環境が一新した。

NECネッツエスアイ オールインワン・コア一体型ローカル5Gシステム「HYPERNOVA」

NECネッツエスアイ オールインワン・コア一体型ローカル5Gシステム「HYPERNOVA」

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