NTTコミュニケーションズは2014年3月31日、クラウド基盤上にあるIP電話サーバーによりPBXおよび内線機能を実現するクラウド型PBXサービス「Arcstar Smart PBX」を4月1日より提供開始すると発表した。
NTTコミュニケーションズ取締役ボイス&ビデオコミュニケーションサービス部長の丸岡亨氏 |
Smart PBXは、PBX・ビジネスフォンをクラウド化することで、従来のようなPBXやビジネスホン主装置を使用する必要がなくなり、設備購入や更改に伴う費用を削減するとともにオフィスの省スペースを実現する。NTTコムの試算によると、30人規模の企業(3拠点)の場合、約40%のコストを削減できるという。このほか、「ビジネスポータル」にも対応しており、Web上から各種設定を変更したり、番号数や同時接続数を追加するなど柔軟な運用が可能だ。
クラウド型PBXサービス「Arcstar Smart PBX」の概要 |
また、Smart PBXを複数拠点に導入することで、拠点間の内線通話を実現する。IP電話やPCだけでなくスマートフォンにも対応し、専用アプリをインストールすることでスマートフォンを内線化し、外出先からでも内線として無料で発着信できる。一斉着信やコールピックアップ、保留転送などの内線電話機能も備える。
2014年度上期には、オプションで「Web電話帳」の提供を予定している。連絡先データをクラウド上で管理することで、複数のユーザーや端末間で最新の情報を共有したり、外出先から連絡先を簡単に検索できるというもの。連絡先や通話履歴をクラウド上に保管するため、端末内にデータが残らず、紛失時の情報漏えい対策にもなる。取締役ボイス&ビデオコミュニケーションサービス部長の丸岡亨氏によると、「今後はWeb電話帳をコアに考えていきたい」という。
さらに、企業の間ではよりセキュアな通信環境に対するニーズがあるのを受けて、同社のVPNサービス「Arcstar Universal One」経由の接続も2014年中に予定している。
Smart PBXの料金は、基本料が内線グループあたり月額5000円、内線番号利用料が内線番号あたり月額500円などとなっている。同様に内線機能を搭載したユニファイドコミュニケーション「Arcstar UCaaS」も提供しているが、Smart PBXは主に国内の500IDまでの中堅・中小企業を対象としているのに対し、UCaaSは大企業向けでグローバル展開にも対応するなどの違いがある。丸岡氏によると、Smart PBXは年間売上高で数十億円規模を目指したいという。
NTTコムは併せて、企業向けIP電話サービス「Arcstar IP Voice」の機能を4月1日より拡充する。Smart PBXやUCaaSと組み合わせることで外線・内線をIP電話化し、通信コストや運用管理コストを削減する。また、これまで提供してきた「Arcstar Universal One」に加えてインターネット接続サービス「OCN」のネットワーク上でも利用できるようになり、従来より安価な導入・運用が可能になる。
企業向けIP電話サービス「Arcstar IP Voice」と他サービスとの連携 |
同社ではクラウド型音声サービスのラインナップを強化しており、Smart PBXやUCaaSのほか、通話アプリ「050 plus W-mode」、会議系サービス「Arcstar Conferencing」を提供している。このうち会議系サービスについては今年1月に買収を完了した仏アルカディンとともにグローバルに展開していく計画だ。4月下旬には、コンタクトセンタ「Arcstar Contact Center(仮称)」の提供も予定している。クラウドならではの特徴を活かし、期間限定の問い合わせなどに柔軟に対応するという。