ソリューション特集光ファイバーセンシングの現在地 グローバルでは鉄道会社やガス事業者らが本格導入

全国に張り巡らされた光ファイバーを「センサー」として活用する動きが広がっている。グローバルでは、鉄道やガスといった社会インフラ分野で導入が進み、国内でも実証プロジェクトが相次いで立ち上がっている。

IOWNで可能性広がる

光ファイバーセンシングは、NTTが掲げる次世代ネットワーク構想「IOWN」との親和性も高い。「交通データを取得して渋滞予測を行うといったリアルタイム性が求められるユースケースでは、IOWNの超低遅延という特徴が大きな意味を持つ」とNTT東日本の佐々木氏は強調する。

そこで、NTT・NTT東日本・NTT西日本・NECの4社は2024年9月、IOWNを活用した光ファイバーセンシングの実証を実施した(図表5)。

図表5 IOWNを利用した広域光ファイバーセンシング

図表5 IOWNを利用した広域光ファイバーセンシング

光波長パスのゲートウェイとして機能する「APN(オールフォトニクス・ネットワーク)-Gateway」(以下、APN-G)を介することで、1台の光ファイバーセンシング装置から、APN-Gに接続された複数の光ファイバーのセンシングデータを取得できることを確認。また、一般道を通行する車両の平均車速や道路の交通量を、200mメッシュの粒度でリアルタイムに可視化することに成功したという。

IOWN構想の推進団体である「IOWN Global Forum」(以下、IOWNGF)に加盟するOKIも、IOWNに熱視線を注ぐ。「IOWNGFには光ファイバーセンシングのタスクフォースがあり、現在はAPN上における光ファイバーセンサーのシームレスな融合のあり方について議論を深めている」(村井氏)という。

課題は「コスト低廉化」

ここまで紹介してきた通り、光ファイバーセンシングの適用領域は幅広い一方で、課題も残されている。その1つがコストだ。光ファイバーセンシング装置は1000万円を超えるものも少なくなく、光ファイバーが整備されていない場所では、新たな敷設費用も加わる。中小・中堅企業にとって、導入は容易ではない。

そこでOKIでは、シリコン基板上に光の回路を集積する「シリコンフォトニクス」を活用した光ファイバーセンシング装置の研究開発に取り組んでいる。「WX1033Bと比べて、コストを10分の1に抑えられる見込みだ。また、約15kgあった装置を軽量化し、持ち運びやすくすることも視野に入れて開発を進めている」(村井氏)

ファーウェイは、約5kmの範囲に限定したエントリー向けソリューションを用意。数十km級の長距離センシングは想定していないものの、低コストに光ファイバーセンシングを導入したい中堅・中小企業のニーズに応える。NTT東日本も商用化に向け、「光ファイバーセンシング技術が広く社会実装されるためには、センシング装置やオペレーションのシェアリングによるコスト低減が必須だと考えている」(佐々木氏)。

国内において、光ファイバーセンシングは2030年以降に本格的な広がりを見せると予想される。まずは大手の建設・インフラ業界を中心に導入が進み、さらなるコスト低減が進めば、中堅・中小企業へと裾野が広がっていくだろう。

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