MWC2014から見えてきた世界の通信業界の新たな動きの二番目は、スマートフォン/タブレット時代が一段と進化し、「スマートフォン/タブレット/ウェアラブル時代」に突入することが明確になったことだ。
スマートフォン/タブレットは汎用品に
もともとMWCは、ヨーロッパ方式の携帯電話規格であるGSM陣営の技術展示会としてスタートした。ネットワークシステムはエリクソンが、端末はノキアが主導しており、展示会の最も目立つゾーンは毎年、ノキアが新作の携帯電話端末を発表する場になっていた。
異変が起きたのは、2007年のiPhone発売の衝撃によってだ。予想を超えてiPhoneがグローバルに広がるなか、携帯電話メーカーもスマートフォン対応を急がざるを得なくなった。サムスンはいち早く舵を切りなおし、スマートフォン開発にリソースを集中投入した。
2011年のMWCでは、それまで会場のど真ん中を占めていたノキアブースは存在せず、代わりにサムスンが巨大なブースを構え、スマートフォンのGalaxyを数百台も陳列し、他を圧倒した。LG、HTCなどもスマートフォン新製品を並べて追随したが、日本の主要携帯電話メーカーはスマートフォンを出すことはできなかった。この光景に圧倒された日本の携帯キャリア、携帯電話メーカーは遅ればせながら、スマートフォンへと急ハンドルを切ることになった。
翌2012年のMWCの会場は、今度はタブレット一色になった。サムスンを先頭に、あらゆるメーカーが競ってタブレットを発表した。遅れていたモトローラも、BlackBerryも、中国勢のファーウェイやZTEも、日本のメーカーも、ことごとくタブレットの新作を展示した。こうしてスマートフォン/タブレット時代が招来された。
昨年2013年は、多種多様なスマートフォン/タブレットが当たり前のように各ブースを彩るなか、むしろ話題を集めたのは、堅調に市場に浸透するiOS、急進するAndroidに対抗する「第3のOS」の登場だった。アップル、グーグルに首根っこを押さえられることを嫌う勢力からの支持を受けて、Tizen、Firefox OSが登場し、スマートフォン/タブレット時代の深化を印象付けた。