中国発の3.9G「TD-LTE」の威力(後編)――世界の商用化動向とソフトバンクの狙い

中国にとどまらず、世界的に導入機運が高まっているTD-LTE。後編では、中国など世界各国の商用化に向けた動きと、TD-LTE採用が噂されるソフトバンクの狙いについて解説する。

ソフトバンクの狙いはLTEとの一体運用?

とはいえ、ソフトバンクがXGPの代替としてTD-LTEを導入するには、越えなくてはならないハードルがある。

まず現在の2.5GHz帯の事業免許(特定基地局設置の認定)はXGPの導入を前提として付与されているので、改めて免許申請をやり直す必要がある。それ 以前に、TD-LTEは2.5GHz帯の運用システムとして認められていないので、情通審での検討から始めなければならない。

また、「日の丸技術」であるXGPを推進してきた総務省を、どう納得させるかもソフトバンクとって課題となるはずだ。

4月27日の決算発表会でTD-LTEの導入について問われた孫正義社長は「検討題材の1つとして、いろいろなものを検討しているが、何もまだ決定してい ない」と回答したが、実際、具体的な導入戦略の構築はこれからといえるのだ。

ただ、それでもXGPに代えてTD-LTEを導入することはソフトバンクにとってメリットが大きい。TD-LTEを選択すれば、世界市場から基地局や端末 を安価に調達できるからだ。

それ以上のメリットが生まれる可能性もある。ソフトバンクはFDD版LTEの導入を検討しているが、LTEとTD-LTEとのデュアルモード端末は容易に 開発できるので、両者を一体運用すれば、極めて大容量なネットワークを実現できるのだ。

もちろんこれでは2.5GHz帯をソフトバンク本体に割り当てたのと同じことになるので議論を呼びそうだが、すでにKDDIがWiMAXのUQコミュニ ケーションズとの間で同様のスキームを採っており、認められる可能性は小さくない。TD-LTEの早期導入が実現すれば、国内の携帯電話市場にも多大な影 響を及ぼすことになりそうだ。

月刊テレコミュニケーション2010年6月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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