コンピューター内を光化へ
――今後のIOWNの進化の方向性についてお聞かせください。
星野 これまでは距離の長い区間を光化することで、電気配線に比べて大容量データを高速に伝送しつつ、消費電力も抑えてきました。しかし、コンピューティング内部のトラフィックが膨大になるにつれ、ボード間やパッケージ間といった数~数十センチ程度の短距離でも、電気配線のままでは消費電力や発熱の問題が無視できなくなりつつあります。
そこでNTTでは、ブロードコムや通信機器ベンダーのAccton Technologyらと協業し、まずはボード間接続を光化する光電融合デバイス「PEC-2」を2026年に市場投入する予定です。
――PEC-2の市場投入を発表してから約3カ月が経過しました。
星野 多くのお客様から、「PEC-2を使いたい」という問い合わせをいただいています。「自分たちで似たような光電融合デバイスの開発に取り組んだものの、技術的に行き詰まってしまった」というお客様もおり、社名は公表できませんが、現在は複数の企業と具体的な協議を進めている段階です。
――エヌビディアなどの米半導体メーカーも、光電融合技術を活用したデータセンター向けスイッチ製品を開発しています。どう差別化を図っていきますか。
星野 最終的には技術力勝負になるでしょう。その意味で、約30年にわたって光技術に取り組んできたNTTにとって、我々の得意分野が光電融合の中核を成すというのは、大きな意義があると思っています。
生産面についても、光電融合デバイスの開発を担うNTTイノベーティブデバイス単独で抱え込むのではなく、他社とのさらなる連携も視野に入れ、需要の拡大に応じて生産能力を段階的に高めていく体制づくりをこれから進めていくつもりです。
需要家の立場から見れば、1社のベンダーに全面的に依存するのか、それともリスク分散や安定供給の観点から複数ベンダー体制を採るのかという判断が出てくるでしょう。その際、「自社だけで進めるのは不安なので一緒に組んでほしい」というお声がけをいただければ、当社が選択肢の1つとして採用されるチャンスが広がると見ています。

――光電融合に関する今後のロードマップをお聞かせください。
星野 PEC-2はすでに製品化に向けた準備が整っており、コネクター部分を交換可能な構成にするなど、他社との差別化につながる要素を取り入れながら、製品としての完成度を磨き上げています。
パッケージ間を光化する「PEC-3」についても、技術的な実現可能性は確認できており、今後は生産技術をどこまで高められるかが課題となります。PEC-3の開発および量産体制の構築に向けては、古河電工と協業を進めるとともに、それ以外にどのパートナーと組むのが最適なのかを検討していきます。
ダイ間を光化する「PEC-4」は、さらなる研究開発が必要なフェーズにあります。PEC-2/3の取り組みと並行して進めていますが、市場の動きに乗り遅れてはいけません。サーフィンに例えるならば、波の到来を予測してパドリングし、タイミングを見計らって波に乗り、さらに次の波にも備える─。先を見据えながら必要な領域にリソースを適切に割り当て、仲間を作りながら研究開発を着実に前へ進めていきます。









