東亞合成のIP電話システム更改――「電話の使い方を変えずにFMCでモビリティ向上」

20を超える拠点・関連会社の電話システム統合に合わせて、FMCとUCを導入した。こだわったのは「電話の使い方を変えないこと」。社員にストレスを与えず、モバイルとプレゼンスの利便性を浸透させることに成功した。

アロンアルフアの製造・販売で知られる東亞合成は、社内およびグループ会社の電話システムの統合を進めている。東亞合成グループは数年にわたって関連会社の吸収合併を続けてきた。合併後も個別に運用されていた電話システムを統合、内線化することで通話料を削減するとともに、運用の効率化を実施。そして、「ICTによる業務改革、ワークスタイル変革の一環としてIP電話システムの導入を進めた」と管理本部情報システム部部長の犬飼宏氏は話す。

2011年にこのプロジェクトを開始した時には、グループ内で実に27機ものPBXが運用されていた。当然、製造メーカー・機種もまちまちで、運用管理も工場、支店、関係会社ごとに行っていた。グループ会社や拠点間で連絡を取り合う際は外線通話が大半。さらに、営業部門では携帯電話の使用頻度も高い。通話料の高騰はもちろん、社員間の連絡に外線を用いたり、拠点ごとに電話の運用法が異なることが社内コミュニケーションの阻害要因となっていた。

そこで、2012年に11拠点のPBXが保守切れを迎えるのを好機と捉え、日立製作所のIP-PBX「NETTOWER CX-01」を導入。セントレックス型の内線電話システムを構築した。2012年10月に本社および主要拠点で稼働した後、2013年7月時点で14拠点の内線化が完了。現在、情報システム部門3人と総務部門1人の計4人で運用している。来年には、国内全拠点を新システムに移行させる計画だ。

管理本部 情報システム部 部長 犬飼宏氏 管理本部 情報システム部 主査 山本美佐男氏
管理本部 情報システム部 部長 犬飼宏氏 管理本部 情報システム部 主査 山本美佐男氏

卓上電話機もPHSで

通話コストの削減、運用の効率化に加え、社内コミュニケーションの円滑化に向けて着目したのがFMCとUCだ。情報システム部主査の山本美佐男氏は今回の取り組みについて、「新しいワークスタイルを実現するためにFMC、UCへと動き出そう、ということも大きな要因だった」と話す。

FMCについては、ウィルコムの内線サービス「W-VPN」を導入した。それまで携帯電話を配布していた営業部門を中心に、現在1000台程度のPHS端末を使用している。外出・出張先でも内線番号による通話が可能で、顧客や取引先から事務所宛てにかかって来た電話も受けられる。従来に比べて「社員間のコミュニケーションが良くなった」(犬飼氏)。

モバイル端末を内線化するFMCサービスは携帯キャリア各社も提供している。そのなかでW-VPNを選択した理由については、端末価格の安さや、壊れにくく電池の持ちも良いといったPHS端末そのものの利点と、「従来通りの内線電話の運用を引き継げること」を評価したという。

外出が多い社員には通常のPHS端末が適しているが、事務職等の内勤社員の働き方には従来通りのラインキーなどがついた卓上型電話機が好ましい。そこで、日立製作所の卓上型PHS電話機「PHS-30DA」を約200台導入した。多機能電話機と同じ操作性を持ったPHS端末で、配線が不要なことも特徴。ウィルコム網の圏内、構内PHSアンテナの範囲内なら自由に持ち運んで設置できるため、レイアウト変更や席替えの際に便利だ。

月刊テレコミュニケーション2013年9月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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