――例えばオリンピックのネット中継やアップルのiTunes Storeなど、インターネット上の多くの著名サービスが実はアカマイのプラットフォームに支えられているわけですが、アカマイ自身について言えば、「誰も知らないインターネット上最大の会社」などと紹介されることもあります。
マッコーネル ええ(笑)。今日もアカマイの存在自体を知らないまま、何十億人ものユーザーが我々のプラットフォーム「Akamai Intelligent Platform」を利用しています。
全世界13万台を超えるサーバーと1200もの通信事業者とのパートナーシップからなるアカマイのIntelligent Platformは、とても独自なものです。我々はWebのトラフィック全体の30%を取り扱っていますが、これほどの規模のプラットフォームがあるからこそ、ユーザーが望むデジタルコンテンツを非常に迅速に配信できるのです。
インターネット体験をあらゆるデバイス、あらゆる場所で豊かにしていくこと――。それがアカマイのビジョンです。
アカマイの5つの製品ライン
――さすがに通信ネットワーク業界ではアカマイの名前を知らない人はいないでしょうが、ビデオなどの大容量コンテンツを配信するCDN(Contents Delivery Network)のイメージが強い人はまだ多いでしょう。しかしアカマイが提供するソリューションはCDNの領域に留まりませんね。
マッコーネル 我々はIntelligent Platform上で5つのプロダクトラインを展開しています。1番目は、メディア配信の高速化や最適化に貢献する「Sola」です。ビデオや音楽、ゲーム、ソフトウェアの配信などに利用されています。2015年までにインターネットトラフィックの90%超がビデオになると予測されていますから、今後も爆発的な成長が見込めるでしょう。
2番目は、ECサイトをはじめとするWebサイトのユーザー体験を豊かにする「Aqua」です。オンラインショッピングにおけるコンバージョン率は、Webページのロード時間と直接的な比例関係にあると、多くの研究で判明しています。ロード時間が1~2秒であればコンバージョン率は高いでしょうし、4~5秒だと低いということが分かっているのです。このためオンライン小売業者の上位100社のうち96社がアカマイを活用してWebパフォーマンスを高速化しています。
3番目の「Terra」はBtoB向けで、インターネット経由で配信する企業用Webアプリケーションを高速化するものです。オンプレミス環境にあった企業アプリケーションがどんどんクラウドへと移行していますが、Terraはそうしたアプリケーションのパフォーマンスを高められます。
――ここまでの3つが現在のアカマイの主力ソリューションですね。
マッコーネル はい。メディア向けのSola、Webパフォーマンスを支援するAquaとTerraの3つがアカマイの売上の大部分を占めています。あとの2つは、現時点での売上規模はまだ小さいものの、これから大きな成長が見込めるソリューションです。
4番目はセキュリティソリューションの「Kona」です。100Gbpsあるいは200Gbpsを超えるボリュームのDDoS攻撃が毎日のように発生していますが、こうした攻撃に自社だけで対処できる企業はほとんどいないはずです。また、クラウド時代には、社内にあるファイアウォールの外でアプリケーションが動くことになりますから、エンタープライズの領域でもWebセキュリティをどう担保するかがますます重要になっていきます。Konaを活用すれば、サイバー攻撃からWebサイトやWebアプリケーションをしっかり守ることができます。
5番目の「Aura」は通信事業者向けのCDNソリューションです。アカマイのIntelligent Platformを利用して、全世界でネットワークサービスを展開することができます。そして、これら5つのソリューションの管理ポータルとして用意しているのが「Luna」です。以上がアカマイのポートフォリオの全体像となります。