“通信の自立”につながるHAPS
珠洲市の外浦地域で自立分散型のオフグリッド集落「真浦SATOYAMA GRID」の構築を行う現代集落 代表理事の林俊伍氏は、現地の通信環境について、携帯電話は利用できるものの、光回線はいまだ復旧しておらず、回復の目途が経っていないと現状を述べた。発災時には通信事業者からStarlinkの貸し出しを受けたが、停電で利用できなくなり、現在も稼働していないという。
現代集落 代表理事の林俊伍氏
SATOYAMA GRIDは太陽光発電や井戸水などを活用し、小規模でも持続可能な集落を目指す。こうした取り組みは「自分たちでコントロールできる範囲」で生活インフラを整えようとするものであり、HAPSは「通信を自分たちでコントロールできるものにするということにつながる」と、創造的復興への意欲を表した。
高速通信利用で輪島塗の情報発信強化へ
輪島塗の製造・販売を手掛けるTAYA-SHIKKITENは、能登半島地震で本社が壊滅的な被害を受けた。SNSやクラウドファンディングを通じて再建を進め、現在は新商品の開発や、トレーラーハウスを活用した複合施設「WAJIMANURI VILLAGE」を運営するなどに取り組んでいる。
TAYA-SHIKKITEN 代表取締役の田谷昂大氏
代表取締役の田谷昂大氏は、輪島塗の情報発信を強化して、能登に世界中から人を呼び込んでいく考えを示した。「客がオーダーした輪島塗(の製造工程)をリアルタイムで見れたり、職人と直接コミュニケーション」できるようにすることを構想するが、能登半島のインターネットの通信速度が遅いことや、高齢者がデジタル技術を使いこなせないことが課題という。「輪島塗は観光コンテンツ。その入口としてデジタルが絶対に必要」と田谷氏は話し、HAPSによる高速通信の実現に加え、遠隔感覚共有などの最新技術にも期待を寄せた。