BYOD管理の“新本命”「MAM」と「MCM」とは?【後編】MCM(モバイルコンテンツ管理)でDropboxシンドロームを乗り越える

BYOD時代のスマートデバイス管理の“本命”として急浮上しているMAMとMCM。効率的な管理によりスマートデバイスの導入、とりわけBYODを成功させたいなら、MAMやMCMはベストの選択肢だ。後編ではこのうち、MCM(モバイルコンテンツ管理)ソリューションについて解説する。

高い表現力も備えた電子カタログタイプのMCM

DropboxタイプのMCMは、スマートデバイス専用というわけではなく、ノートPCをはじめ多様なデバイスからの利用を前提にしている。

それに対して、もう1つのタイプのMCMは、スマートデバイスでの利用に特化しているのが特色だ。もっと具体的にいえば、主にタブレット向けのコンテンツ配信を想定し、電子カタログ/電子マニュアル、ペーパーレス会議などの機能を備えている。インフォテリアの「Handbook」、エージェンテックの「ABook」などが代表的だ(関連コンテンツ)。

Handbookのインターフェース
PDFやPowerPoint、HTML5などのコンテンツをタブレットならではのUIで見せられるHandbook

インフォテリアの松村宗和氏は、DropboxタイプのMCMとの違いを次のように説明する。

「単にファイルを安全に共有するという点では、どのMCMも大差はないかもしれない。しかし、Handbookなら、営業・接客で本当に使える表現力の高いコンテンツや、インタラクティブ性を持たせた教育向けのコンテンツなど、タブレットらしいコンテンツを配信できる」

ただドキュメントを安全に管理するにとどまらない。さらにモバイルでコンテンツをどう業務に活用するかまで踏み込んでいるのが、Handbookをはじめとする電子カタログタイプのMCMというわけだ。すなわち、単なる「守り」ではない、「攻め」の活用である。

Handbookはコンテンツの閲覧履歴を管理者側で把握できる機能や、コンテンツに対する評価を営業マンなどに質問できるアンケート機能も備えている。松村氏によると、こうした情報を利用すれば、提案資料の改善や成績優秀な営業マンの行動分析などにも生かせるという。

来るパーソナル・クラウド時代に向けてMAMとMCMはますます重要に

ガートナーは企業ITの将来の在り方として、「パーソナル・クラウド」というキーワードを挙げている。「企業ユーザーがいつでもどこでも必要なものにアクセスできる。しかも、デバイスは何でもよい」(ガートナーの針生恵理氏)というのが、パーソナル・クラウドの世界だ。

こうした世界を想起したとき、デバイスを中心にした管理手法というのは、そもそも十分ではない。デバイスではなくパーソナル――人を中心にした管理へと移行していく必要がある。本特集では3回にわたってスマートデバイスの業務活用、とりわけBYODに有効なソリューションとしてMAMとMCMを紹介してきたが、アプリケーション管理やコンテンツ管理の考え方は今後、企業IT全般で求められてくるものだろう。

MDMに代わるBYODソリューションとしてはもちろんのこと、企業IT全体のパラダイムシフトに対応するソリューションとしても、IT部門はMAMやMCMに注目していくべきなのだ。

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