ビデオ会議大手のポリコムジャパンは2013年5月17日、同社の最新ビデオ会議ソリューション動向に関する説明会を行った。
営業技術部 セールスエンジニア 清水幸典氏 |
登壇した営業技術部 セールスエンジニア 清水幸典氏は、ポリコム製品の優位性として、まず「Polycom UX(User Experience:ユーザー体験)」の特徴を解説。ユーザーインターフェースの統一性や直感的な操作感、ボタンの数を極力抑えたリモコンなどを紹介した。「何をすればいいか迷わないシンプルな操作性をコンセプトに打ち出している」と話した。
また、同社の最新ラインナップに採用されているSVC(スケーラブルビデオコーディング)技術についても説明された。SVCは、H.264映像圧縮プロトコルを拡張したもので、その前身技術であるAVC(アドバンスドビデオコーディング)よりも高品質な映像を提供し、TCOの削減効果などのメリットももたらす。従来、AVCとSVCには互換性がないのだが、ポリコムのSVCソリューションではAVCとSVCを接続できる環境を提供することができ、既存システムへの投資保護および段階的な導入を可能にする。ほかにも音声・映像コンテンツの品質維持やUC(ユニファイドコミュニケーション)環境との相互運用に強みを持つという。
Lyncとの連携で差別化
ポリコムは昨年11月以降、新製品を相次いで投入している。最新のビデオ会議システムは、「Polycom RealPresence Group(300/500/700)」シリーズだ。本体、カメラ、マイク、リモコンの基本構成で、本体は横幅約30cm、奥行き約10cm、高さ約2cm、重さ約1kgと可搬性に優れている。
「Polycom RealPresence Group」シリーズ |
小規模会議室向けの「EagleEye Acoustic カメラ」も引き合いが大きいという。これは、低廉な価格ながら1080p30の映像性能を提供するEPTZ(電子パン/チルト/ズーム)カメラ。備え付けのゴム製ヒンジを用いることで、薄型ディスプレイに容易に取り付けることができる。
ポリコムの注力ポイントになっているのがモバイルソリューションの拡充だ。「Polycom RealPresence Mobile」の機能を拡張した「v2.0」でモバイル対応を強化させている。プロビジョニング機能、管理機能、ファイアウォールトラバーサル機能を備える。Group/HDXシリーズに対応する。
これらの製品特徴以外にも、ポリコムは企業に対する訴求の切り口を持っている。それは「Microsoft Lync」との連携だ。ポリコムはマイクロソフトとパートナーシップを提携し、製品開発レベルから協業している。エンタープライズ向けUCの市場拡大などが両社の目的だ。
Microsoft Lyncとポリコムのビデオ連携のデモの様子。手前の電話機はMicrosoft Lyncでの利用に特化した「Polycom CX 」シリーズ |
清水氏はポリコムとLyncが連携する3つのメリットについて解説した。1つはLync導入のためのハードウェアの追加を必要としないこと。ポリコムのビデオ会議端末HDXおよび多地点装置「RMX」はソフトウェアのバージョンアップと設定追加だけでUC環境へ移行できる。2つ目はユーザー管理の容易性だ。マイクロソフトのActive Directoryと連携し、ビデオ会議端末とLyncクライアントを一元管理することができる。他社の場合だとクライアントと端末を別サーバーで管理する必要があり、管理負荷の面で大きく差が開く。
そして3つ目がネットワーク設計の容易性である。ゲートウェイを通さないネイティブ連携を実現しているため、トラフィックの一極集中の心配がないわけだ。「投資と手間を抑えてLyncと連携することができる。海外を中心に大規模なシステム連携事例が出てきている」(清水氏)。