F5ネットワークスジャパンは2013年2月8日、新製品発表会を開催した。ハイライトは2つで、ハードウェアプラットフォームおよび仮想アプライアンスのラインナップを強化したのに加えて、ファイアウォールソリューションも新たに投入する。
まずはラインナップ拡充のほうから見ていこう。新フラッグシップモデルとして発表されたのは、シャーシ型の「VIPRION 4800」だ。これまでの倍となる8枚のブレードを搭載可能な同モデルは、最大640GbpsのL4スループット、L7での秒間2000万以上のリクエスト処理能力などを実現。また、40GbEインターフェースを16ポート実装できる。
VIPRION 4800の概要 |
ハイパーバイザー上で動作する仮想アプライアンス「BIG-IP VE」も強化する。Citrix、XenServer、Hyper-V、KVM、VMware vSphereと対応プラットフォームを広げたほか、新たに3Gbpsスループット版を用意する。Amazon Web Servicesにも近々対応する予定だ。
さらに、エントリーモデルの「BIG-IP 2000s」と「BIG-IP 2200s」なども追加。「全機種、10GbEを実装した。エントリーモデルでの実装は他社ではあまりないと思う」とプロダクトマーケティングマネージャの野崎馨一郎氏は説明した。
追加されたエントリーモデルとミッドレンジモデルの概要 |
ロードバランサとファイアウォールを統合
F5のアーキテクチャでは、ハードウェアはあくまでプラットフォームに過ぎない。そのうえにロードバランサである「BIG-IP Local Traffic Manager」やWAFである「BIG-IP Application Security Manager」などのプロダクトを載せるという格好になっているが、今回新たに追加されたのがファイアウォールの「BIG IP Advanced Firewall Manager」(AFM)だ。アプリケーションサーバーをDoS攻撃や急激なトラフィック増から守るのがAFMの役割である。
BIG-IP Advanced Firewall Manager(AFM)の概要 |
他のファイアウォールと比べた最大の強みとして紹介されたのは、アプリケーション視点であることだ。アプリケーションごとに各種設定や可視化、ログ・レポートが可能で、運用効率を向上できるという。アプリケーションの可視化というと次世代ファイアウォールを思い浮かべる人も少なくないだろうが、次世代ファイアウォールが基本的にユーザーサイドに置かれるソリューションであるのに対して、AFMはアプリケーションサーバーを守るのが仕事。次世代ファイアウォールとは役割が異なっているとのこと。
また、ロードバランサとファイアウォールを統合できる点もメリットとして強調された。「今までのセキュリティのアプローチはポイントソリューション。我々は統合ソリューションを提供する」と代表取締役社長のアリイ・ヒロシ氏は語った。AFMはBIG-IP Local Traffic Managerのアドオンモジュールとして提供される。