80GHz帯で世界最速140ギガ、NTTとNECが6G時代の無線バックホール実現へ

激増するモバイルトラフィックをどうさばくのか――。この問題を解決する基盤技術の1つとして期待されるのが、光ファイバーに匹敵する大容量無線伝送だ。80GHz帯を使った「OAMモード多重伝送技術」を開発するNECとNTT、NTTドコモの3社は今回、“世界最速”となる140Gbpsの無線伝送に成功。6G時代を見据えて、無線基地局とコア網をつなぐ無線バックホール回線への適用を目指す。

「従来技術から飛躍的に向上した」(NTT未来ねっと研究所 波動伝搬研究部 グループリーダの工藤理一氏)――。NTTは2025年3月24日、ミリ波と呼ばれる周波数帯のうち80GHz帯(71~86GHz)を用いて、双方向で合計140Gbpsのリアルタイム無線伝送に成功したと発表した。NTTとNTTドコモ、NECが2022年から研究開発を進めてきた技術を用いており、100GHz未満の周波数では「世界最高速」になるという。

NTT未来ねっと研究所 波動伝搬研究部 グループリーダの工藤理一氏

NTT未来ねっと研究所 波動伝搬研究部 グループリーダの工藤理一氏

80GHz帯を用いた従来技術での伝送容量は、伝送距離40mで23.2Gbpsだった。今回の3社協力による実証実験では伝送距離45mで57.4Gbps、22.5mでは70.7Gbpsと、2倍を超えるスループットを記録。そして、実用化を見据えた双方向伝送では、22.5mで139.2Gbpsを達成している。

実環境でのリアルタイム無線伝送技術(100 GHz 未満)に対する本成果の位置づけ、OAM モ ード多重伝送装置

実環境でのリアルタイム無線伝送技術(100 GHz 未満)に対する本成果の位置づけ、OAM モード多重伝送装置

6G時代の大容量無線バックホール構築へ「大きな一歩」

工藤氏の説明によれば、この研究は「6G時代の大容量無線バックホールの構築」を目指したものだ。

2030年代の実用化が見込まれる6Gでは、VR/ARなどに代表される高精細映像を使ったアプリケーションが普及し、大容量化の必要性がさらに高まると予想される。現在は主に光ファイバーケーブルが使われているバックホール回線を無線化できれば、バックホール構築の柔軟性が高まり、基地局展開が容易になり、ひいては大容量化もしやすくなる。

ただ、そのためには光ファイバーに匹敵するスループットを無線伝送で実現する必要がある。そこでNTT、NTTドコモ、NECの3社が着目したのが、「OAMモード多重伝送」技術だ。

続きのページは、会員の方のみ閲覧していただけます。

関連リンク

RELATED ARTICLE関連記事

SPECIAL TOPICスペシャルトピック

スペシャルトピック一覧

NEW ARTICLES新着記事

記事一覧

FEATURE特集

WHITE PAPERホワイトペーパー

ホワイトペーパー一覧
×
無料会員登録

無料会員登録をすると、本サイトのすべての記事を閲覧いただけます。
また、最新記事やイベント・セミナーの情報など、ビジネスに役立つ情報を掲載したメールマガジンをお届けいたします。