セキュリティツールにも日本独自の傾向
セキュリティツールの利用動向にも、日本の特殊な傾向が見られた。
カテゴリー別の導入企業数ではVPN/ファイアウォールが最多であり、前年比で2%増加。パスワード管理も前年比9%と高い成長率を示した。
最も利用されているセキュリティツール
また、データコンプライアンスは前年比50%増で、「最も急成長しているツール」となった。イソラ氏によれば「カナダで前年比63%増、米国で前年比46%増と大きく成長している」。
下図表の通り、急成長しているセキュリティツールのカテゴリは国別に大きく異なる。日本はVPN/ファイアウォールが前年比32%と急成長しており、「ネットワークセキュリティを重視している」(同氏)傾向が明らかとなった。
国別の急成長しているセキュリティツール
また、セキュリティに関しては世界的に「多要素認証(MFA)の導入を強化している」傾向が見られる。
認証要素にも変化があり、フィッシングへの耐性がある「パスワードレス認証が急速に普及している」(イソラ氏)。ログイン時に、あらかじめ登録しているデバイスかどうかを確認するOkta FastPass機能の利用が前年比で52%も増加。生体認証も前年比16%成長した。一方で、SMSやボイスコールによる認証は前年比14%減少している。
国別でみると、パスワードレス認証の利用数は、1位がフランス、2位が米国、3位が日本となった。ただし、生体認証の利用割合は日本が11%と、他国と比べて低い。「デバイスの対応が遅れていることがその理由と考えられる」とイソラ氏は分析した。
1アカウント当たりのパスワードレス認証の平均数(国別)
サイバー脅威の増大を背景に、こうしたフィッシング耐性のある認証への移行が加速するとOktaは予測している。安全性を確保しつつシームレスなアクセスを実現するため、企業はパスワードレス認証を推進する必要があるとイソラ氏は話した。