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半数以上がInfiniBandよりイーサネットを好む
AIを利用するには、膨大なデータ処理能力と計算能力が求められます。そのため、AIを開発し、そのサービスを提供するデータセンターにおいては、ネットワーキングインフラストラクチャの選択も非常に重要です。
従来、AIやHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)といった特定の環境でネットワークを構築する場合は、InfiniBandが好まれてきました。しかし、これにはベンダーロックインと運用上の課題による柔軟性の制限があります。
対して、イーサネットはオープン性と拡張性、そしてパフォーマンスやコスト効率にも優れていることから、AIデータセンターにおけるネットワークファブリックの一般的な選択肢として急速に普及し始めています。
ZK ResearchとtheCUBE Researchによる最近の調査では、対象者の59%がInfiniBandよりもイーサネットを好むと回答しました。
AIワークロード/クラスターAIワークロードのサポートに好まれるネットワーキングテクノロジー
(出典:ZK Research、theCUBE Research)
その理由としては、既存のイーサネットの導入ベースと社内スキル、クラウドベンダーがAIにイーサネットをすでに使用していることが挙げられました。また、AIデータセンターでは、GPUメモリ間で直接通信するRDMAが不可欠な技術の1つとなりますが、それをイーサネット上で実現するRoCE v2(RDMA over Converged Ethernet バージョン2)によって、InfiniBandと同等のパフォーマンスが達成されていること、InfiniBandに対する懸念なども、イーサネットを選択する理由に挙がっています。
イーサネットを好む理由(出典:ZK Research、theCUBE Research)
イーサネットが選ばれる理由(1)ベンダーロックインの回避
将来的には、次世代のGPUとアクセラレーターで構成されるAI開発基盤ではイーサネットが利用されることになるでしょう。それを示唆する要因はいくつかあります。
InfiniBandは特定ベンダーへの依存を生み出し、柔軟性を低下させます。対して、イーサネットのオープンスタンダードはマルチベンダーエコシステムを促進し、ネットワーク設計の柔軟性を高めます。これにより、組織は様々なベンダーのGPUやアクセラレーターを使用できるようになり、単一サプライヤーへの依存を回避できます。
その結果、AMDやIntel、そして革新的なスタートアップ企業による専用プロセッサーやアクセラレーターが登場します。イーサネットのオープン性は、ベンダーの制約を受けない柔軟性を求める企業にとって最適な選択肢となっていきます。企業や組織は、接続における制約なしにイノベーションと拡張を進めることができるのです。