金融サービスやECアプリで、SMSで送られるPINコードによる二要素認証を使ったことのある人は多いだろう。セール情報やクーポンをSMSで受け取る機会も増えている。
こうしたメッセージングの仕組みを裏方として支えるSMS送信サービスで9年連続トップシェアを誇るのが、NTTコム オンラインの「空電プッシュ」だ。上記のほか、料金督促や業務連絡、安否確認など様々な用途で利用されている。
この空電プッシュを発展させるかたちで、同社は新たなコミュニケーション・APIサービス「NTT CPaaS」の提供をスタートした。CPaaSとはCommunications Platform as a Serviceの略であり、SMS送信などのコミュニケーション機能をオンラインサービスや業務システムなどに組み込むためのAPIを提供するサービスだ。ノーコードで簡単に実装できるのが特徴で、SMSだけでなくメールや音声通話も実装することができる。
NTTコム オンライン 代表取締役社長の塚本良江氏
例えば、デリバリーアプリに音声通話機能を組み込んで、利用客が配達員と電話で話せるようにするといったことが容易に実現できる。2025年1月29日に開催したローンチイベントで代表取締役社長の塚本良江氏は、SMS、音声通話、メールと「コミュニケーションチャネルがスピーディに追加できる」利点を強調した。
Uberのバックグラウンドを支えるInfobipと共同開発
このNTT CPaaSは、クロアチアのInfobip社と共同開発したものだ。世界に75拠点を持ち、1万5000社を顧客に抱えるCPaaS市場のリーディング企業である。メッセージ送信数は月に420億を超え、多い日には、1日で23億ものSMSがInfobipのプラットフォームから送り出されるという。
Infobip CEOのSilvio Kutic氏
ローンチイベントに登壇したCEOのSilvio Kutic氏は、「世界人口の7割が、なんらかのかたちでInfobipのプラットフォームを使っている」と紹介した。ネットワーク接続からコミュニケーションAPI、会話型のコミュニケーションSaaS、そして業界別のソリューションまで幅広く揃えることで、競合プラットフォームとの差別化を図っているという。
使用例の1つとして取り上げられたのが、Uberだ。2013年に、ドライバーと利用者の認証プラットフォームとして採用。以後、SMSによる双方向コミュニケーション、電話番号をマスキングした状態での音声通話も導入した。現在では、チャットボットも利用されている。