今がMVNO参入の好機
――今年に入ってMVNE(Mobile Virtual Network Enabler)として、多くのパートナー企業を支援していますね。
福田 元々、多数の企業がMVNO参入に意欲的でした。何せモバイル市場規模は10兆円にも上りますから、そこに商機を見出そうとするのは当然のことです。最近になって活発化している理由として考えられるのは、キャリアのMVNOに対する姿勢が変わってきたことです。
かつてはMVNOの台頭は、キャリアにとっては売上を落とす要因と捉えられていました。しかし、MVNOが増えるということは回線を獲得してくれるというメリットをもたらすため、結果的に自分たちにとってもプラスになるということが理解されてきたのです。
通信キャリアから見れば、すでにMVNOは「自社の通信サービスを低価格で提供する別のブランド」という位置付けになりつつあります。
たとえばNTTドコモの場合、市場シェアの半分を占めているので、ブランドを多様化させることにそう違和感は無いでしょう。現在ではISPを中心にずいぶんMVNOを増やしています。ドコモもMVNOと真っ向から対立するのではなく、むしろプラスに捉えて拡大させようとしているのでしょう。
――参入が容易になったということですね。
福田 そうです。こうした流れのなか、イオンやヨドバシカメラ、アマゾンといった異なる業界のリーディング企業が当社のパートナーになったことが、MVNO市場を拡大させるトリガーとなりました。
そしてさらに、同じ業界の他の企業にも、参入のチャンスがあるということが広く知れ渡ったのです。これは、当社にとって販路を広げる好機になっています。
――販路開拓のために具体的にどのような施策を講じていますか。
福田 オンライン上で本人確認が取れる仕組みを作り、ウェブショップでの販売ができるようになりました。店頭で対応するためのコストが下げられる分、安価に流通させることでユーザーに還元していこうと考えています。