「無人受付システム」導入ガイド[前編]――“人気上昇中”の理由とは?

最近、目にする機会が増えている「無人受付システム」。受付業務の効率化や自社のイメージアップ、セキュリティ向上などを目的に導入する企業が相次いでいるためだ。無人受付システムにはどんな機能やメリットがあり、どう選べばいいのか――。まずは基礎知識編をお届けする。

無人受付システムの機能解説

次に、無人受付システムにはどんな機能が搭載されているのか、その基本機能から連携機能まで、一通り紹介しよう。

■システム構成
まずは無人受付システムの基本的なシステム構成例を図表1に紹介しておこう。

基本構成では内線電話としてPBXに接続するだけで使えるようになる。このとき、アナログPBXかIP-PBXかという問題があるが、現在のところ、IP-PBXに対応している製品は少なく、対応していてもIP-PBXの機種が限られている。

ただし、自社でIP-PBXを導入しているからといって、製品の選択肢が減ってしまうわけではない。アナログ端末をIP網につなぐことができるアナログテレホンアダプタ(ATA)を利用すれば、IP-PBXに対応していない無人受付システムもIP-PBXに接続できるようになるからだ。ATAは数万円で入手可能だ。

図表1 無人受付システムの基本構成例(出典:ネイクス)

■タッチパネル機能と電話機能
無人受付システムでは、タッチパネルに触れながら、訪問先の社員名あるいは部門を検索して電話をかけることが基本操作になる。画面に表示されるメニューは、来訪者が操作しやすいレイアウトになっていて、例えば「名前で検索」「部署名で検索」「業務内容で検索」といった中から選んで検索できるようになっている。

また、操作内容に合わせて「音声ガイダンス」を流すことが可能な製品もある。これらの製品の中には社内の人に対しても「受付からお電話が入っております」というメッセージを流すことができるものもある。これなら電話を取った人は、社内なのか、受付なのか、瞬時に判断できるようになる。

さらに、訪問相手が話中の場合、自動的に代表番号など指定した番号にかけ直す機能がサポートされている製品では、来訪者を待たせずに取り次ぐことができる。このほか、フロアマップ機能を備えた製品を導入すれば、応接室や会議室まで直接来てもらうこともできる(図表2)。

図表2 フロアマップ機能の一例(出典:日本電通)

■データ管理機能
部門名とその電話番号などの登録情報は、Excelなどで管理しながらCSV形式で無人受付システムの管理プログラムに転送するのが一般的だ。

図表1の構成例では、無人受付システムは社内LANとつながっていないが、LAN接続していれば、管理用PCからリモートメンテナンスすることができる。LAN接続しない場合は、メンテナンスのときだけ無人受付システムにキーボードとマウスをつないで直接データ更新作業を実施すればよい。

なお、最近は社員情報が外部に漏れることを防ぐため、無人受付システムには名字だけしか表示させなかったり、部門名までしか登録しなかったり、常時LANに接続するのではなく、メンテナンスのときしか接続しなかったりするなど、情報漏洩対策に注意を払う企業が増えている。

■英語対応とマルチテナント対応
海外との取引がある場合には、日本語表示だけでなく英語表示も必要になる。そこで、各社とも英語対応を進めていて、ワンタッチで「英語」「日本語」表示を切り替えることができる製品も多い。このとき音声ガイダンスも「英語」に切り替わる製品もある。

また、複数のテナントが同居しているオフィスビルの総合受付やエントランスなどにも設置できるマルチテナント対応製品も登場している(図表3)。これらの製品を利用すれば、ビル内の複数テナントや関連会社などの受付業務を一括して運用管理できる。

図表3 マルチテナント対応製品の一例(出典:日本電通)

■他のシステムとの連携機能
無人受付システムは単独で使われるだけでなく、エントランスに関係する他の設備と連携させることで、さらなる有効利用が可能だ。

例えば、ネットワークカメラと連携できる製品では、来訪者の映像を電話を受けた担当者のパソコンから確認することができる。さらに、自動ドアやセキュリティゲートが設置されている場合、手元のパソコンからリモート解錠を行えるように連携させることも可能だ。

次回の後編では、実際に無人受付システムを選定する際に重要となるポイントを解説する。

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(提供:日本電通)

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