――通信業界はモバイル/ワイヤレスとスマートフォンの普及、ソーシャルをはじめとするネットサービスの隆盛など大きく変貌し、固定通信事業を取り巻く状況は厳しさを増しています。現状をどう分析していますか。
村尾 モバイルが今後も成長を続け、通信事業の中核を占めることは世界的な趨勢です。また、ネットワーク上のアプリケーションなど上位レイヤで収益を上げるインターネットの世界が発展していくことは間違いありません。
当社はどちらかというとネットワーク以下の中・下位レイヤを強みとすることから、冷静に見るとこれらのトレンドから外れています。従って、市場環境が急速に変化する中で、今の状況にしがみついていたのでは将来の絵を描くことはできません。
では、どうするのかというと、制度上のさまざまな制約を言い訳にすることなく、知恵を振り絞り、いかに新しい道筋を切り開いていくかの一言に尽きます。
――社長就任会見では、自らのミッションとして「光サービスによる新しい文化の創造」という新しい理念を挙げていました。
村尾 お客様の求める価値は単なるモノや機能から、体験へと変化しています。
以前は「回線を売ります」「キャッチホンサービスを売ります」という“モノ売り”でビジネスが成り立っていました。しかし、今はお客様のライフスタイルを豊かにしたり、変革するものを出すことで魅力的なユーザー体験を「デザイン」することが重要で、単に「光回線を売ります」という売り方には限界があります。
そこで今年4月に映像系サービスのアライアンスを手がける「アライアンス推進室」を設置したのに続き、この7月には、新規性の高いビジネス・サービスを創出する「ビジネスデザイン推進室」を新設しました。