――2011年度連結決算では久しぶりに増益に転じましたが、4年連続で減収が続いています。どのようにして減収基調からの脱却を図ろうとしているのですか。
有馬 海外での事業展開とクラウドをキーにして、連結ベースで減収に歯止めをかけたいと考えています。今年を転換点にしたいですね。
ただし、グローバル事業やクラウドは先行投資でもあり、すぐに利益を確保することは難しい性質のものです。そうした中でトータルのボトムラインを維持するためには、既存事業のコスト削減を加速させて利益性をさらに高める取り組みを並行して進めていかなければなりません。
今年はけっこう大変な年だと社員にも話しています。
――昨年10月に、今後の法人向けサービスの指針として「グローバルクラウドビジョン」を打ち出しました。その進捗について、手応えを教えてください。
有馬 新ビジョンの根幹は、グローバルにシームレスな環境で使えるクラウドを推し進めていくことです。これまでは、例えばNTTコム内のサービスでも、日本のクラウドと欧米のクラウドで異なる部分もありましたが、お客様はグローバルにシームレスな環境で使うことを望まれています。
それに応えるには、サービスの開発からデリバリー、オペレーションまで共通した仕様、品質で提供することが必要です。もちろん、データセンターからネットワーク、アプリケーションまでをワンストップで提供することも含め、これを実現する体制作りを今年は一層進めていきます。
――将来的に、グローバルの収益をどの程度まで引き上げる計画ですか。
有馬 現状、連結収益に占める海外比率は12~13%です。2015年までに海外収益を倍増したいと考えています。