「2024年度末までに、Opensignalの評価指標“一貫した品質”部門でナンバーワンを目指す」。今年6月に開催された就任会見で、NTTドコモの前田義晃社長はこう宣言した。
2023年に入ってから都市部を中心に通信品質の低下が指摘されているドコモは、全社を挙げて改善策に取り組んでいる。その目標として、Opensignalという具体的な分析会社を名指しした。ドコモだけではない。近年、通信事業者のリリースやホームページ等でOpensignalの分析結果が引用される機会が増えている。
楽天モバイルは今年4月、Opensignalが発表した「モバイル・ネットワーク・ユーザー体感レポート」(以下、ユーザー体感レポート)において、5部門で単独受賞したというリリースを発表。5Gのアップロード/ダウンロード・スピード、音声アプリやゲーム、映像のユーザー体感の評価で3キャリアを上回ったことをアピールした。
英国と米国、カナダに本社を置くOpensignalは2010年に設立され、日本市場には2019年に参入した。数年間でモバイル業界のベンチマークとして定着した理由について、Opensignal ジャパンカントリーマネージャーの内田真二氏は「グローバル市場において、実際のユーザー体感を独立・公平な立場から、詳細に分析・評価している企業がこれまでなかったからではないか」と話す(図表1)。
図表1 Opensignalのアプローチ