NECインフロンティア川上社長「Aspire Xを核に丸ごとソリューション」

Aspire Xの販売好調が続くNECインフロンティア。さらなる成長を目指すには、従来の機器単体ビジネスでは難しいとみる。このため、エンハンスでは、他の機器やサービスとの連携に重点を置いてきた。クラウドPBXの登場など大きな市場変化のなかでどのような戦略を描いているのか。4月に就任した川上政和社長に具体的な取り組みを聞いた。


――川上社長はNECで主にキャリア向けの事業を担当されてきたのですね。

川上 もともとは局用交換機の事業部にいました。NECはNTT向けと海外キャリア向けの2機種を持っており、このうち海外向けの交換機をNCCにも展開することになり、KDDIや日本テレコム(現ソフトバンクテレコム)などに導入することができました。その流れでNTTドコモにも採用され、そちらを担当していたことで、局用交換機の事業部が固定とモバイルに分かれた際に、私はモバイル側に移ったのです。

――固定と移動の両方を長年、経験されてきたわけですね。今の通信機器市場をどう見ていますか。

川上 私が長く担当していた局用交換機は、2001年に開始されたマイラインの頃が最後のピークで、現在はほとんど出荷されていません。私も携わっていたデジタル交換機「NEAX61Σ」は、今はもうありません。PSTNによる電話サービスも、いずれはすべてIP電話サービスに移行し、なくなるでしょう。

当社は企業ネットワーク向けにIP-PBX/ビジネスホンを生産していますが、この先も永遠に需要が続くという保証はないわけです。

ユーザーに目を移すと、メールやSNS等のさまざまなコミュニケーションツールを活用しており、電話だけには頼っていません。電話はすでに、コミュニケーションツールの1つになっています。このため、PBXやビジネスホンだけをお客様に提案しても、誰も相手にしてくれないところまで来ていると思います。

――確かに、PBX/ビジネスホンを単体で見ると市場は今後大きく伸びることはないでしょうし、より高機能の製品を出せば受け容れられるという局面ではなくなっていますね。

川上 NEAX61Σは1995年に市場投入しましたが、機能追加をしようにもIP化への流れのなかで需要は減少し、結局「最後の局用交換機」になってしまいました。同様のことはPBX/ビジネスホン市場でも起こることでしょう。

ですから、提案にはプラスアルファが必要で、お客様が本当に欲しているものは何かということをきちんと把握し、トータルコミュニケーションという形で提供していかなければならないと思います。

もちろん、我々自身ですべてはできませんので、さまざまなパートナーとアライアンスを組んでいかなければなりません。

ただし、そのなかで我々が何をすべきかを明確にする必要があります。当社には「UNIVERGE SVシリーズ」と「UNIVERGE Aspire X」がありますので、これらをコアにして、パートナーの製品群と組み合わせてソリューションとして提供できるような形でレベルアップさせていかなければならないと思っています。

月刊テレコミュニケーション2012年8月号から再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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川上政和(かわかみ・まさかず)氏

1976年3月九州大学工学部卒業、4月日本電気入社。2002年10月同社NECネットワークスIPネットワーク事業本部IPネットワーク事業部長、06年7月同社モバイルネットワーク事業本部副事業本部長。07年6月日本電気通信システム執行役員常務、08年6月東北日本電気常務取締役、09年6月同社代表取締役社長、2011年4月NECネットワークプロダクツ取締役執行役員常務、2012年4月NECインフロンティア代表取締役社長就任、現在に至る。1953年3月生まれ、福岡県出身

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