ノキア加茂下社長「6G時代に向けて市場回復 通信事業者はAPIで収益化を」

6Gは「感じて、考えて、行動するネットワーク」になると語るノキア日本法人の加茂下社長。こうしたネットワークの実現に向けた重要なカギの1つとして挙げたのが、通信事業者のネットワーク機能を第三者に開放して収益化を図るAPIの提供だ。通信インフラ市場の今後、6G時代のネットワーク、RANのオープン化とクラウド化、IOWN、ローカル5Gなどについて、加茂下社長に聞いた。

ノキアソリューションズ&ネットワークス 代表執行役員社長 加茂下哲夫氏

ノキアソリューションズ&ネットワークス 代表執行役員社長 加茂下哲夫氏

――ノキアが7月に開催したイベントでも主要テーマの1つとなっていましたが、「5Gマネタイゼーション(収益化)」がいまだ課題であり続けています。国内の通信事業者は非通信分野に意欲的に取り組む一方、5Gインフラ投資には慎重な姿勢です。最新の通信技術への積極投資によって成長を加速できる時代は過ぎ去ってしまったのでしょうか。

加茂下 確かに世界的に見ても、通信事業者は非通信分野への投資のポーションを増やしており、インフラへの投資は少し抑え気味です。しかし通信事業者は5G-Advancedや6Gの時代に向けて、これからAI、クラウド、Industry 5.0、APIなどによる収益化を目指していく必要があります。となると、どうしてもトラフィックは増えていきますから、インフラ投資を継続的に行わないと、通信事業者は期待に応えていくことができません。

ご存じの通りモバイルの世界では10年ごとに新しい波が来ます。今は5Gの波がちょうど収まりかけてきたところで、底を打ったのがおそらく今年か昨年くらいです。来年ごろからOpen RANやCloud RANなども含め、6G時代に向けた準備の投資が増えていくでしょう。

また、5Gは一段落といっても、今から5Gを導入する国もありますし、5Gのアップグレードも必要です。ノキアは、そうした契約も結構獲得できています。

――通信インフラ市場全体が停滞するなか、ノキアの業績も昨年度(2023年12月期)は大幅減益でしたが、ようやく復調しそうですか。

加茂下 徐々に回復していくと思います。ノキアの業績も2030年に向けて上向きになっていくと考えており、実際、今年度はおよそ23億~29億ユーロの営業利益を確保できる見込みです(昨年度の営業利益は16億8800万ユーロ)。

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加茂下哲夫(かもした・てつお)氏

2024年1月1日、ノキアソリューションズ&ネットワークスの代表執行役員社長に就任。30年以上にわたるIT・通信業界での経験を持ち、日本IBM、エリクソン・ジャパン、モトローラジャパン、ノキア シーメンス ネットワークス、華為技術などでセールスに関わるリーダーとしての主要な役割を歴任。直近は、オレンジビジネスサービスジャパンの代表取締役社長を務めていた

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