ヴルーヴのローカル5G戦略 “コア共有型”でまちづくりDXに挑むスタートアップ

ローカル5G導入の障壁の1つとなっているコストや運用面の難しさ。ヴルーヴは、コア共有型のローカル5Gによってこれらの課題解決を目指す。また、佐賀県・玄海町などの自治体では、すでに導入が始まっている。

高速大容量・低遅延・多数同時接続という5Gのメリットを自営網で享受できるローカル5G。期待通りに普及しているとはまだ言い難いが、その大きな原因の1つはコストだ。

ローカル5Gの導入コストは、コンパクトなケースでも数千万円かかると言われている。大規模であれば、数億円レベルのコストが発生する可能性もある。また、無線システムに知見のないユーザー企業がローカル5Gを構築・運用するのはハードルが高い。

この課題解決に様々な企業が取り組んでいるが、“コア共有型”ローカル5Gソリューションを開発・提供するヴルーヴもその1社だ。2022年5月に創業したスタートアップで、今年4月には電気通信事業者が電気通信役務の提供にあたり必要となる「電気通信番号(事業者番号)」を取得した。

同社のボードメンバーは、KDDIやソフトバンク、楽天などの通信キャリアに加え、サムスンやノキア、エリクソン、富士通等の通信機器ベンダー出身者などから構成されている。

また、ゴールドマンサックスやみずほ銀行等の金融機関出身者が財務・会計・資産運用を担っており、「似て非なるスキルを持つメンバーがこれだけバランス良く揃ったスタートアップはありそうでなかった」とヴルーヴ 取締役副社長の田中智洋氏は胸を張る。

ヴルーヴ 取締役副社長 田中智洋氏

ヴルーヴ 取締役副社長 田中智洋氏

ヴルーヴグループは、ローカル5Gの設計・構築を行う「ヴルーヴ株式会社」、ローカル5Gの運用・保守を担当する「ヴルーヴGNOC」、DXに関するコンサルティングやSIを実施する「ヴルーヴイノベーションズ」、その3社の持株会社「ヴルーヴホールディングス」で組織されている(図表1)。「意思決定の迅速化と経営効率化を目的に分社化している」(田中氏)という。また、ローカル5Gに限らず、Wi-FiやLPWA等と組み合わせた“高度化通信網”の導入支援も行っている。

図表1 ヴルーヴグループの組織図

図表1 ヴルーヴグループの組織図

ヴルーヴのコア共有型ローカル5Gは、5GコアをSaaS型で提供するもので、同社のローカル5Gセンターに設置された5Gコアをユーザー企業同士でシェアするという形態である(図表2)。各社が1つの5Gコアを所有するオンプレミス型と比べ、リーズナブルな料金体系でローカル5Gを利用できる。

図表2 ヴルーヴのコア共有型ローカル5Gの概要

図表2 ヴルーヴのコア共有型ローカル5Gの概要

同社のローカル5Gは、5Gコア機能から基地局まで、ローカル5Gシステムに必要な設備・機器一式を月額使用料を支払って利用する「サブスクリプション型」のサービス。具体的な料金体系は協議中だというが、「条件付きで月額数万円で提供する方向で進めている」(田中氏)とのこと。また、エリア設計から免許取得、運用・保守までを一気通貫でサポートする。

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