村田製作所は2024年8月5日、アンテナに搭載することで無線性能の低下を抑制する新製品「アンテナ間干渉改善デバイス“Radisol（ラディソル）”」を世界で初めて開発したと発表した。2024年6月から量産を開始している。
アンテナ間干渉改善デバイス「Radisol」
スマートフォンやウェアラブル端末には、Wi-Fi、Bluetooth、GPSなど多くの無線通信機能が搭載されており、それぞれの規格に対応する送受信アンテナが高密度で実装されている。近い帯域のアンテナ同士が高密度で実装される際、空間に放射されるべき電力の一部が近隣のアンテナに干渉して流入し、アンテナの放射特性が低下してしまう。
アンテナ同士の距離を十分に離すことでアイソレーションを確保し干渉を防ぐことができるが、スマートフォンやウェアラブル端末では、小型筐体内でスペースを確保することが困難だ。
そこで村田製作所は、独自のセラミック多層技術とRF回路設計技術により、高精度フィルタ特性と低挿入損失を両立した当製品を開発した。当製品をアンテナの周辺で使用することで、低い挿入損失で近接するアンテナ間の干渉を防ぐことができる。また、当製品は小型のため、スマートフォンやウェアラブル端末など、限られたスペースに複数のアンテナを搭載するデバイスにおいて無線通信機能の安定化に貢献する。
当製品はMotorola Mobility LLCが2024年8月に発売するスマートフォン「edgeシリーズ」新機種に採用され、Radisolを活用することでWi-Fiアンテナの特性改善を実現したという。
