2024年6月19日、情報通信審議会 陸上無線通信委員会において、5.2GHz帯及び6GHz帯無線LAN作業班の第11回会合が行われた。主要議題は次の2つだ。
1つが、6GHz帯の“残り700MHz幅”の活用だ。無線LANではすでに6GHz帯の利用が解禁されているが、現状、使える周波数は5925~6425MHzの500MHz幅のみ。「6GHz帯」と呼ばれる周波数帯には、まだ無線LANに割り当てられていない6425~7125MHzの700MHz幅がある(参考記事)。
この周波数拡張と屋外・高出力利用(SPモードでの利用)が、第11回以降の作業班で検討される。
もう1つの議題は「5GHz帯無線LANの上空利用」だ。現在は、衛星通信や気象レーダーとの干渉を防ぐため、屋外利用並びに上空方向への利用に制約が課されている。だが、ドローン等での利用ニーズが高まっていることから、5.2GHz帯を軸に上空利用に適した利用条件と周波数共用条件を検討する。
6月19日の第11回会合では、両議題について想定される論点、そして今後のスケジュールなどが提示された。本稿では、1つめの議題である「周波数拡張と屋外・高出力利用」についてレポートする。
AFCシステムを前提に周波数共用を検討
6GHz帯無線LANの周波数拡張と屋外・高出力利用の鍵となるのが、AFC(Automated Frequency Coordination:自動周波数調整)システムだ。
AFCは、6GHz帯を使用する他の無線システムとの周波数共用を実現するためのもので、6GHz帯の1.2GHz幅をすべてWi-Fiに割り当てている北米で導入が先行している。我が国でも、「AFCを前提として(残り700MHz幅の)周波数共用の検討を進める」(作業班事務局)方針が示された。
AFC機能の構成図(出典:5.2GHz帯及び6GHz帯無線LAN作業班 事務局資料)
AFCの仕組みを示したのが、上の図表だ。
日本国内では、割り当て済みの5925~6425MHzではAFCは不要だが、今後検討される700MHz幅については、放送事業や電波天文との干渉が回避できないため、無線LANシステムを使用しようとする場所に応じて、利用可能な周波数を自動的に選定して使う仕組みが必要になる。