NECは2024年6月19日、PCサーバー「Expres5800シリーズ」において、高い可用性とシンプルな運用を両立した新カテゴリ「高可用性サーバー」を商品化し、エントリーモデル「Express5800/R32Ba」およびミッドレンジモデル「Express5800/R32Aa」「Express5800/R31Aa」を販売開始すると発表した。
近年、企業や自治体ではDX推進によるデジタル化が急速に進んでいる。ITシステムの一部がクラウド化される一方、基幹業務や製造・物流システムなど、リアルタイムなデータ利活用が必要な場合には、セキュリティやネットワークの問題からオンプレミスの導入も求められており、こうしたハイブリッドIT環境ではエッジサーバーが重要な役割を果たす。特に、工場のスマートファクトリー化や物流倉庫の自動化など、大量のデータやリアルタイム情報の処理が必要となる現場においては、エッジ環境での高速なデータ処理が必要となる。また、システムの故障や停止は重大な影響を及ぼすため、サーバーによるプラットフォームの構築に対しても持続的な運用と安定したパフォーマンスを提供する高い可用性が求められる。
NECはこうしたニーズに応えるため、従来のftサーバー後継機として、Express5800シリーズの新たなカテゴリとなる高可用性サーバーを商品化したという。
Express5800/R32Baでは、NECのハイエンドサーバーNX7700xシリーズで実績のある「I/Oエラーハンドリング機能」(独自技術により、I/O カードで致命的なPCIバスのエラー等の重要障害発生時にシステム稼働へ影響が波及することを防ぎ、障害部位を閉塞することでシステムダウンを回避する機能)や「MCA機能」(CPUキャッシュやメモリの訂正不可障害発生時に、OS/CPU/BIOSが連携して障害波及範囲を極小化し、最終的にリカバリ不能でもシステムを停止させることなく該当プロセスを停止する機能)をExpress5800シリーズにおいて初めて搭載。エッジサーバーに求められる、より高い可用性を確保した。
エントリーモデル「Express5800/R32Ba-E2」
また、コストパフォーマンスを重視し、従来のftサーバーと比較してCPUなど一部故障率の非常に低いパーツをシングル化。より安価に高可用性を備えたサーバーの導入が可能になり、基幹業務や製造・物流システムなどにおいて、セキュアでリアルタイム性に優れたデータ利活用を促進する。なお、長期間の利用ニーズに応えるため、最長10年の保守にも対応している。
Express5800/R32AaおよびExpress5800/R31Aaでは、CPUを含むすべてのハードウェアをコンピュート(CPU、メモリ、チップセット)、I/O、ストレージ、電源の4種のモジュールに分けて二重化する。
ミッドレンジモデル「Express5800/ R32Aa-M2」
さらに、コンピュートモジュールに対し障害予兆が検出された際は、稼働中のOSやアプリケーションに影響を与えずに、二重化したもう一方へシステム移行が可能なスマートエクスチェンジ(Smart Exchange)機能を搭載している。
Smart Exchange機能のイメージ
また障害発生時には、4種のモジュールごとに人手の介在が不要で自動的に切り離しや切り替えを行いシステム稼働を継続できるとともに、特別なツールを使用せずにモジュール単位の交換も行えるようになり、メンテナンス性を向上した。これらにより、99.99999%(年間停止時間約3秒)のシステム可用性を実現するとともに無停止保守環境も提供し、現場にシステム管理者が不在でも安心して運用可能なシステムの構築を支援する。
希望小売価格は、Express5800/R32Baが256万8200円~(税別)、Express5800/R32AaおよびExpress5800/R31Aaは個別見積もり。
価格および受注・出荷開始時期
受注開始は、Express5800/R32Baが6月19日、Express5800/R32AaおよびExpress5800/R31Aaが2024年12月となっている。