「ネットワーク仮想化はこの25年で最大の変革」 OpenFlowの雄、Niciraが日本で本格始動

ネットワーク仮想化の実現技術として高い注目を集めるOpenFlow。その開発をリードしたマーティン・カサド氏が共同設立した米Nicira Networksが、いよいよ国内での活動を本格化させた。

いまネットワーク分野で最大の話題といえば、ネットワークの仮想化がまず挙げられるだろう。その実現手段は1つではないが、最も“革新的”といえるのがOpenFlowを用いたネットワークの仮想化だ。

そのOpenFlowの開発において中心的な役割を果たした“OpenFlowの父”マーティン・カサド氏が共同設立し、現在CTOを務める米Nicira Networks(ニシラネットワークス)が2012年2月22日、都内で記者会見を開催した。OpenFlowのリーディングカンパニーがいよいよ日本国内で本格的に活動を開始する。

NTTやAT&T、eBayなどがすでに顧客に

「ネットワークの仮想化は、ネットワークにおけるこの25年で最大の変革」

同社CEOのスティーブ・ムレイニー氏は会見中、「変革」という言葉を繰り返し使ったが、その理由を理解するうえでは、クラウドにとってネットワークがボトルネックとなっている現状をまず知る必要がある。

米Nicira Networks CEO スティーブ・ムレイニー氏
米Nicira Networks CEO スティーブ・ムレイニー氏

ご存知の通り、サーバーの仮想化技術は、アプリケーションを物理サーバーから切り離すことを可能にした。その結果、迅速なサービス展開や、物理サーバーの利用効率の向上とそれに伴うコスト削減などが実現している。ただ、現状ではまだ十分に仮想化のメリットを活かしきれていないというのが、Niciraの意見だ。「ネットワークの限界によって、クラウドの限界が生じている」とムレイニー氏は指摘した。

サーバーやストレージが物理ハードウェアから分離された一方、ネットワークは現在も物理的なハードウェアとトポロジーに依存している。このため仮想マシンを動かす際に物理ネットワークの設定変更が必要になるなど、ネットワークはクラウドの運用上、大きな障壁となっている。また、仮想マシンをデータセンター間で移動することも現状のネットワークでは困難なため、物理サーバーの利用効率にもボトルネックが生じている。

こうした問題を解決するのが、ネットワークの仮想化である。仮想ネットワークでは、物理的なネットワークハードウェアやトポロジーとは切り離した形で、ネットワークリソースを柔軟に利用・運用管理できるからだ。

つい最近まで“ステルスモード”にあったNiciraは広く情報を公開せずに、ごく限られた顧客とトライアルなどを行ってきたが、そのうちの1社にeBayがある。ムレイニー氏によると、eBayではかつて新しいアプリケーションの導入に1週間かかっていたが、Niciraのソリューションを使ってネットワークを仮想化したことで30秒に短縮できたという。なお、NTTやAT&T、フィデリティ、ラックスペースなどもNiciraの顧客となっている。

また、サーバーのCAPEXも大幅に削減できるという。ネットワーク仮想化によりサーバーへの過剰投資を10~20%減らせるため、仮想マシン100万台規模の大型データセンターでは880万~1760万ドルのコスト削減が見込めるとムレイニー氏は説明した。

さらに、ネットワークのCAPEX削減も可能とのこと。Niciraのソリューションでは、シスコやジュニパーといった“ブランド企業”の高価かつ高機能なネットワーク製品は必要ないためだ。

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