矢野経済研究所は2024年2月28日、国内の5Gソリューション市場を調査し、製造、建設、物流、医療、セキュリティ、社会インフラ、スタジアム/ライブソリューションなど分野別の5G活用およびIoT型ソリューションの普及動向、将来展望を明らかにした。
その中で、ローカル5Gソリューション市場予測も行っている。
ローカル5Gソリューション市場規模予測
一般企業や自治体、各種団体などが総務省に免許を申請し、企業や自治体、団体の建物や敷地内など特定範囲(狭域)限定で構築する5Gネットワークであるローカル5Gは、コロナ禍による行動制限が緩和された2022年度から導入検討/PoCが進展した。
2023年度に入るとPoC件数の増加とともに、徐々に実装段階のプロジェクトも増えており、同年11月末現在でローカル5Gの免許人は152者(公表を承諾している事業者のみ)となっている。そうしたことから、2023年度のローカル5Gソリューション市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比217.2%の63億円を見込む。
ローカル5Gソリューション市場は黎明期~導入期にあり、矢野経済研究所では、本格的に普及するのは2025年度以降になると考えている。ローカル5Gソリューションのターゲットとなるのは、リアルタイム対応/遠隔モニタリング、最適化、意思決定支援、自動化・自動制御、データを基にした予知・予測・予防、価値向上といったテーマになる。
また、ローカル5Gネットワークを企業や団体が単独で利用するのではなく、複数の企業や団体が共同利用するローカル5G基盤の共有型や、レンタルパッケージ(レンタル型、サブスク型)などのローカル5Gソリューションも登場している。さらに、ローカル5Gネットーワークの用途を特化することで、運用コストの低廉化を実現するソリューションも期待されるという。
2025年度以降、本格的な普及が進むローカル5Gソリューションでは、既存の通信規格を用いたIoTシステムの更新タイミングに合わせて、5GベースのIoTソリューションへの代替が進展する見込みとする。この場合、当面はセルラー5GベースのIoTソリューション導入が主導するが、併せてローカル5Gおよびプライベート5Gも並走し、用途や目的に沿った使い分けが進む見通しだという。