総務省は2024年2月26日、宇宙通信アドバイザリーボードの第1回会合を開催した。同省として重点的に取り組むべき宇宙通信政策について検討を行い、同年4月以降に実施方針を展開する。
これまでの宇宙関連事業は国家主導のもとに推進されてきたが、衛星ブロードバンドサービス「Starlink」を開発するスペースXなど、欧米を中心に宇宙ビジネスに乗り出す民間・スタートアップ企業も頭角を現し始めている。
この動きを受け、国内でも宇宙政策の基本方針「宇宙基本計画」が昨年6月に閣議決定され、「国際競争力を持つ企業の戦略的育成・支援」が同計画内でも謳われている。
また政府は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)内に「宇宙戦略基金」を新設。民間企業や大学に対し、今後10年間で1兆円規模の支援を行う予定だ。
総務省も宇宙戦略基金への基金造成を行うが、「基金事業も含め、同省における宇宙通信政策の効率的な推進にあたり、有識者から助言を得ること」が同アドバイザリーボードの目的である。
「宇宙戦略基金」の創設
第1回会合では、宇宙戦略基金に関する基本的な考え方や今後の検討の方向性などが示された。
同基金の設立により、①宇宙関連市場の拡大、②宇宙を利用した地球規模・社会課題解決への貢献、③宇宙における知の探究活動の深化・基盤技術力の強化を目指す。
事業全体の目標
今後の検討項目に関しては、「宇宙輸送」「衛星」「宇宙科学・探査」という宇宙基本計画で定められた3つの「宇宙技術戦略」に沿った技術開発テーマの設定や、技術開発テーマにおける定量的な成果目標・出口目標等の策定、審査・評価体制の設定などを進めていく。
今後の検討事項
支援の考え方については、技術開発テーマの性質に応じ、委託と補助の2パターンを想定。補助率などは、各技術開発テーマに係る市場や技術の成熟度、実施者の規模などの情報も勘案しながら最終的に決定する予定だ。