「ローカル5G制度の柔軟化」検討が再開へ、2024年夏までに海上利用の条件など審議

2022年に始まった「ローカル5G制度の柔軟化」。2023年には共同利用が解禁されるなど、総務省はより使いやすいローカル5Gの実現に向けて取り組んできた。この柔軟化をさらに推し進めるべく、2024年2月末から「ローカル5G検討作業班」が再開される。海上利用を含む3点について議論が行われる予定だ。

ローカル5G基地局を「より密に打てる」?

2つめの議題は、「電波伝搬パラメータの精緻化」だ。これは、基地局間の必要離隔距離を縮めることを目的としたもの。簡単に言えば、ローカル5Gの基地局をより密に配置できるようにするためだ。

屋内で電波を吹く場合、それが屋外へどれだけ漏れ出すかは壁の性質によって異なる。漏れ出しが少ない、つまり“侵入損”の大きな外壁を使っている建築物であれば、必要隔離距離を縮めることができ、より密に基地局を配置できる可能性がある。データセンターやコンサートホールといった「熱効率が高い建築物」がそれに当たるという。

無線通信の国際標準を示すITU-R勧告では、この熱効率が高い建築物に対応した建物侵入損が規定されており、作業班では、その適用可能性について議論する。また、駅舎などの半屋内への適用もあわせて検討する予定だ。

再開後の作業班で検討される3つの主要議題

再開後の作業班で検討される3つの主要議題

最後の3つめは、「アップリンク比率を増やした非同期運用」だ。

非同期運用とは、時分割複信におけるタイムスロットの上下比率を、同期運用より上り方向に偏重させる運用方法のこと。ローカル5Gでは、無線通信のタイミングをキャリア5Gと揃えつつ、同期システムが下り通信に使っているスロットの一部を上り通信に使用する「準同期運用」が使用可能だ。動画像などの大容量データを端末から送る際に、効率的な伝送が行える。

現行制度では上りスロットの割合を増やした複数パターンの準同期運用が規定されているが、さらに上りスロットの割合を増やした場合に、同期運用を行う他のローカル5Gシステムやキャリア5Gへ与える影響について検討する。

前述の通り2月28日に再開する第20回ローカル5G検討作業班で、これら議題の検討を開始する。2024年前半に複数回の開催を予定しており、夏までに報告書案を作成。新世代モバイル通信システム委員会での審議とパブリックコメントを経て、同年夏以降に情報通信技術分科会への報告を行う予定だ。

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