ソフトバンクは2023年1月30日、AI開発に必須な教師データを作成するアノテーションサービス「TASUKI Annotation(タスキアノテーション)」のSaaS型アノテーションツールに、チャットUIでプロンプトを入力してアノテーションを指示する機能を追加したと発表した。
「TASUKI Annotation」は、AIモデルの開発に必要な教師データを加工するアノテーション代行サービスと、効率的なアノテーション作業を実現するSaaS型ツールを提供している。
アノテーション代行サービスでは、専門の人材がデータ収集から前処理までアノテーション作業を代行。これにより、時間とコストを削減できるだけでなく、データの品質も向上するとしている。実際にアノテーション代行サービスを使ったことで、AIによる画像識別の精度が28%向上した事例もあるという。
SaaS型ツールは、自社でデータを管理したい場合や、すでにアノテーション作業を行う人材を確保している企業などが自社で教師データを作成するためのツール。各プロジェクトごとの管理も簡単にできるほか、難しいアノテーション作業や、作業量が多すぎて自社のリソースだけでは対応できない場合は、ソフトバンクに作業を依頼することも可能だ。
今回SaaS型ツールの一部機能として提供を開始したプロンプト指示機能では、読み込んだ画像を見ながらプロンプトを入力できるインタフェースを採用し、これまで提供してきた作業ツールの操作性を損ねることなく利用できるという。
例えば、チャットUI上で「泳いでいるペンギン」という文章を入力すると、画像内のペンギンに対して作業ツールが自動でアノテーションを行う。輪郭をセグメンテーションする細部の正確さを問われるタスクの場合、一つのアノテーションでも負担の大きい作業となるが、プロンプトを実行するだけで簡単にポリゴン(画像の中の物体の領域を多角形で囲うアノテーション手法)を作成し、作業を完了させることが可能だ。
一部の顧客が本機能を先行して利用した結果、1カ月で1万3700回の処理リクエストがあり、1データあたり平均40分の作業が2分まで短縮され、95%におよぶ工数削減につながったという。年換算では600人月に相当し、従来の労働集約型なアノテーション作業の環境を大きく変えることが可能としている。