2023年10月に、業界団体のWi-Fi Allianceが新世代の幕開けをアナウンスした。2024年第1四半期から「Wi-Fi 7」(IEEE 802.11be、以下「11be」)の認証を開始する。
一方、Wi-Fiを巡っては現在、世代交代を上回るインパクトを持つ変革が進められている。6GHz帯の割当だ。2.4/5GHz帯より格段に広い新周波数帯が加わる。
そして、Wi-Fi 7はこの6GHz帯の利用を前提に設計された初めての無線LAN規格だ。現行のWi-Fi 6Eでも6GHz帯は使えるが、Wi-Fi 7と融合してこそ、その価値は最大化する。
今後数年間は、Wi-Fi 7と6GHz帯を軸にWi-Fi市場は激しく動く。この2つはどのように融合していくのか。
Wi-Fi 7と6GHz帯の現状は
まず、11be標準化と周波数割当の現状を押さえておく。
11beの標準化は2024年12月に完了予定だが、従来世代と同様、このスケジュールは製品リリースには影響しない。ベンダーの製品開発に関わる仕様はほぼ固まっており、2024年早々に製品が市場投入されるはずだ。
国内への11be導入については、2021年から総務省 情報通信審議会「5.2GHz帯及び6GHz帯無線LAN作業班」(以下「作業班」)で技術的条件が議論されてきた。2023年7月の作業班報告に基づいて審議、パブリックコメントの募集も終了している。2024年1月頃に告示の見通しで、Wi-Fi 7認証とほぼ同時期に、国内の利用環境が整う。
ただし、Wi-Fi 7の能力は6GHz帯の割当次第で大きく変わる。「各国の周波数割当に課題が残っている。Wi-Fi 7は、その処理がうまくできた国から普及していくだろう」と、無線LANビジネス推進連絡会(Wi-Biz)会長の北條博史氏は予想する。
無線LANビジネス推進連絡会(Wi-Biz) 会長 北條博史氏
日本国内はどうか。
6GHz帯とは5925~7125MHzの1.2GHz幅を指すが、このうち5925~6425MHzの500MHz幅が2022年9月に無線LAN用帯域として割り当てられた(図表1)。現在、Wi-Fi 6Eで利用可能だ(屋外利用は超低消費電力モードのみ)。今後、残る700MHz幅(6425~7125MHz)の割当が継続検討される。
図表1 6GHz帯の周波数拡張
この周波数割当は国・地域によって異なる。米国と韓国は1.2GHz幅すべてを無線LANに割当済み。欧州は日本と同様の状況だ。