国内GDPの約2割を占める基幹産業である製造業。ただ製造現場では、労働人口減少に伴う業務効率化や作業員の安全確保、技能継承の高度化など、取り組むべき課題が山積している。これらの課題解決のため、IoTや無線通信などのICT技術に注目が集まっている。
ローカル5Gもそのうちの1つだ。超高速・超低遅延・多数同時接続という特徴を活かし、高精細映像の伝送やロボットの遠隔制御をはじめとした、スマートファクトリー化実現を後押しする無線通信技術として期待されている。2021年には総務省から「製造現場におけるローカル5G等の導入ガイドライン」が公表されるなど、政府も力を入れている。
ただ今日の製造現場では、ローカル5Gの導入が進んでいるとは言い難い。そんな中、いち早く製造現場にローカル5Gを本格導入した企業が存在する。NECプラットフォームズだ。
今年8月より、通信関連機器などを生産する掛川事業所で新工場が稼働開始。NECグループ内で初めてローカル5Gを本格導入した。
(左から)掛川事業所の新工場の外観、AMRなどを用いた自動搬送システム(出典:NECプラットフォームズ)
同社は2021年から、ATMなどの特殊用途向け端末製品を生産する甲府事業所にローカル5G環境を構築し、製造現場のリモート化・自動化に向けた実証実験を行ってきた。ここで培ったノウハウを掛川事業所に横展開した形だ。
新工場は4階建て。2階で基板の表面部品、3階で後付け部品の実装を行う。そして4階では製品の組立・検査・梱包が行われ、下層から上層へ製造工程が流れる構造となっている。