前回はインチョン空港でのNFC実験を紹介したが、これに続き11月からは大手映画館チェーンのMegaboxでNFCを利用した実用化実験が始まっている。
Megaboxは2000年の創業以来、順調に動員数を増やしており、2005年にはアジア最高映画館賞を受賞。また、COEX店が1店舗での年間世界最大集客数620万人を記録するなど、韓国エンタメ界におけるフラグシップ的な存在である。その功績と社会的影響度が評価され、2011年4月に政府のNFC推進機関である知識経済部より「スマートRFID ZONE構築事業」に選定された。
プロジェクトの範囲は全国に広がっている |
プロジェクトには、Megaboxのほか、移動体通信事業者(KTとSKT)やカード会社、VAN会社(決済事業者)、システムインテグレーターなども参加している。
プロジェクトへの参加企業 |
NFCポスターによる予告編ビデオ、クーポン発行なども
それでは、この実証実験ではどのような試みが行われるのだろうか。
1.スマートフォン向け専用アプリの開発、配布
まずはスマートフォン向けの専用アプリの開発、配布である。この専用アプリには、クーポンの取得機能や位置情報と連動して最寄りのMegaboxが探せる検索機能などを提供するものだ。
スマートフォン向けアプリの画面 |
2.映画チケットのWeb上からの購入、決済、NFC連動
映画のチケットをWebで購入すると購入履歴がスマートフォンに記録されると同時に、Megaboxで利用できるクーポンも発行。当日、映画館では、入場ゲートに設置されたNFCリーダにスマートフォンをタッチすることで入場できる。また、まだ支払いをしていない場合には、NFC対応クレジットカード機能により、その場で決済することも可能だ。
さらに入場時には、近隣の提携飲食店のクーポンも発行されるので、映画を楽しんだ後にそのクーポンを使って飲食することもできる。なお、こうした仕組みにより、映画館側は顧客の映画視聴履歴を取得することが可能になっている。また、NFCリーダが設置されている一部の提携飲食店では、クーポンの利用履歴も取得可能だ。
実験が行われている映画館内部と入場ゲート |
3.NFCポスターの設置
次回に上映する映画のポスターなどにRFIDタグを取り付け、NFC対応スマートフォンでタッチすると、予告編の動画など、その映画に関する情報をその場で見ることができる。さらに、映画の割引クーポンも取得したり、その場でチケットを購入することも可能だ。
クーポン発行の仕組み |