<連載>SX/GX最前線IIJが描くデータセンターGX 省エネ・再エネのその先へ 

ICT業界における脱炭素化の焦点の1つがデータセンター。そのGXは一筋縄ではいかず、まさに“あの手この手”で対策を組み合わせることが不可欠だ。脱炭素の先にある商機も見据えるIIJの取り組みを追う。

2050年のカーボンニュートラル実現を掲げる政府のグリーン成長戦略では、「2040年までにデータセンターのカーボンニュートラルを目指す」とされている。

データセンター(DC)におけるデータ処理量は、経産省 情報産業課の試算によると、今後10年で30倍以上に増大する見込みだ。DCは爆発的な需要増の中でゼロエミッション化、つまり省エネ性能と再生可能エネルギー利用率の向上を進めるという難題に直面している。

「PUE 1.3」をすでに達成

政府の推進策の1つが、改正省エネ法で導入した「データセンター業のベンチマーク制度」である。

今年度から、DCの電力使用効率を測るPUE(空調等を含む総電力量をIT機器の消費電力量で割った値)の報告を義務付けた。併せて、PUEの目標値を1.4に設定。業種共通の指標によって省エネの状況を評価し、取り組みを後押しするのが狙いだ。

日本データセンター協会によれば、2021年度時点の国内平均は1.7(図表1)。1.4以下を達成しているのは上位2割に限られる。島根県松江市と千葉県白井市でDCを運営するインターネットイニシアティブ(IIJ)はその1社で、松江DCは1.2、白井DCは1.3台を達成している。同社 基盤エンジニアリング本部 基盤サービス部長の久保力氏は「GAFAMは1.1から1.2で、それに比べると低いが、1.4は国際的にもよい水準」と話す。

図表1 国内データセンターのPUEとベンチマーク制度の目標

図表1 国内データセンターのPUEとベンチマーク制度の目標

IIJは、DCのカーボンニュートラルを目指して、もう1つの柱である再エネ化についても複数の施策を推進。さらに、松江・白井DCのリソースを活用することで、VPP(仮想発電所)として将来の電力供給力を取引する容量市場へ参画するなど、カーボンニュートラルの先を見据えた取り組みも進めている。

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