――Asteriskは2004年9月に正式版の1.0がリリースされ、現在は1.8になっていますが、何がどう変わってきたのでしょうか。
高橋 実は、ほとんど変わっていません。PBX関連の基本機能から音声会議機能、ACD機能など、現在Asteriskで利用できる機能は1.0の段階からほとんど付いていたのです。ただ、日本でよく利用されているラインキーやパーク保留などの機能は抜け落ちています。AsteriskのPBX文化は米国のものですから。
――PBX機能の強化という意味では、実施されていないということですね。では、どのような機能が追加されているのでしょうか。
高橋 皆さんがあまり利用されないような細かな機能が追加されているのと、あとはつながるものを増やすという点に主眼が置かれています。最近の例では「Googleトーク」への対応のほか、「Googleカレンダー」と同期させようと試みたりといったWebサービス系との接続や同期が中心になっています。
Skypeにも正式対応しましたが、残念ながらマイクロソフトに買収された時点で契約切れとなり、今後のサポートは不明となっています。
――次期バージョンと言われている1.10ではどのような点が強化されるのでしょうか。
高橋 実は、明確なロードマップがあるわけではなく、結構気まぐれな部分もありますので、リリース時期も含めてまだよく分からないというのが正直なところです。
整いつつある国内のAsterisk利用環境
――日本では昨年、フュージョン・コミュニケーションズがAsteriskに対応したり、ナカヨ通信機のSIP対応電話機用のパーク保留対応パッチがリリースされたりと、徐々に利用しやすい環境が整ってきました。
高橋 従来は国内のITSP(IP電話サービス事業者)でAsteriskに正式対応するところはありませんでしたので、フュージョンという大手ITSPが入ってきたのは非常に大きいと思います。
電話機に関しては、ナカヨ通信機のほか、この9月にパナソニックシステムネットワークスもAsteriskに対応した汎用SIP電話機を投入しました。日本のユーザーは海外製の電話機を嫌がる人が多いので、これも大きな出来事だと思います。
――ナカヨ通信機は、9月末にAndroid搭載端末を投入しますね。
高橋 シスコシステムズも「Cisco Cius」を発表していますし、今後はAndroid搭載製品が続々登場しそうで、Asteriskと組み合わせるのは面白いかなと注目しています。