質・量ともに拡大
プレゼンスは、1個のシステムとしてではなく、ソフトフォンやインスタントメッセンジャー(IM)などの機能の1つとして捉えている人がほとんどだろう。まずはこうした、“ツール埋め込み型”の製品を例に、最新機能を見ていこう。
現在では多くのソフトフォンが、(1)PCのログイン状態(オンライン=在席/オフライン=不在)のほか、(2)通話中、(3)離席といった状態を表示する機能を備えている。プレゼンスサーバーが端末の状態を見張り、表示は自動的に更新される。スクリーンセーバーが起動したり、キーボードやマウス操作がない状態が一定時間続くと「離席」と判断し、操作が再開されると「在席」に戻る。ユーザーの手が煩わされることはない。
NECの「UNIVERGE ActivePhoneBook」は、さらに多くの情報を集約し、詳細にユーザーの状態を把握できる。
文字通り「電話帳」であり、画面上のアイコンから1クリックで電話・メール・IMが起動する、UCソリューションのポータルとなるものだ。Webアプリケーションであるため、ソフトフォンやデュアル端末、PHS、大型液晶画面付き固定電話機など多様な端末から、さらに社外のリモート環境からでも利用できる。
図表2に示した画面の通り、UNIVERGE ActivePhoneBookでは4種類のプレゼンス情報が表示される。
図表2 NECの「UNIVERGE ActivePhoneBook」 |
名前の左のアイコンは、一般的なソフトフォンと同様、PCと電話の状態を示す。一番右の「所在」は、接続している無線LANアクセスポイントの情報を基に、本人がいる拠点・フロアなどを表示する。
また、グループウェアと連携し、現時点でのスケジュールを「予定」欄に表示。不在や離席中の人の現状も、より細かく知ることができる。なお、予定情報に行き先が入力されていれば、それを「所在」欄に表示する。
企業ネットワークソリューション事業本部・UNIVERGEサポートセンター・第一システムサポート部の河端厚志主任は、「ツールの選択を助けるだけでなく、場所や予定が分かることで、『近くにいるなら話をしよう』など、実際に会う際のサポートにもなる」と効果を語る。
もう1つ、「ステータス」欄が用意されているのは、予定外の緊急要件の発生に対応するためだ。通常は、「勤務中」「外出中」などが他の情報に基づいて自動で表示されるが、手動で書き換えることもできる。なお、その際には、ステータスを元に戻すまでの経過時間を設定できる。例えば、急な外出時に2時間後に設定しておくと、経過後に自動的にプレゼンスを更新する。手動で変更した際の“戻し忘れ”を防ぐ機能だ。
“タイミング”も知らせる
在籍中だから電話をしよう、外出中だからメールを送ろう、同じフロアにいるから会いにいこう、会議中だから電話できないがIMなら話ができる――。リアルタイムに相手の状況が分かれば、コミュニケーションのロスとミスは確実に減る。
だが、最新型プレゼンスの機能はそれだけではない。もっと“わがまま”なニーズにも応えられる。
モバイルセントレックスシステム「ProgOffice」を提供するNTTソフトウェアは2009年7月、大幅に機能を強化した「ProgOffice2.0」をリリースした。その目玉の1つが「リアルタイムプレゼンス通知機能」だ。
通常のプレゼンスが「手段」の選択をアシストするとすれば、この機能は、「タイミング」をサポートするものだ(図表3)。
図表3 NTTソフトウェア「ProgOffice2.0」リアルタイムプレゼンス通知機能(クリックで拡大) |
業務遂行中には、メールやIMではなく電話でなければ、あるいは実際に会わなければならないというケースが生じる。予め登録しておいた相手のプレゼンスが変更されると、例えば外出先から無線LAN圏内に戻ったり、通話が終了した際に、その旨をメールで通知し、次のアクションをサポートする。
“待ち人”の帰りを頻繁に確認しなくとも、目の前の業務にしっかりと集中できるありがたい機能だ。
さて今回は、ソフトフォンやIMをベースとしたプレゼンスを中心に紹介した。次回の後編は、これとは違うアプローチをとっている最新プレゼンスシステムについて紹介する。