ソフトバンク宮川社長が語るAI時代の“インフラ大改造”「汎用人工知能を使うのにアメリカにつなぐしかない国になってしまう」

「Softbank World 2023」で講演するソフトバンク 代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一氏

「Softbank World 2023」で講演するソフトバンク 代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一氏

「孫さんが10年以内にAGI(汎用人工知能)が実現すると言っていたが、絵空事なのか。実は私は『もっと早く実現するかもしれない』と思いながら聞いていた」

ソフトバンクグループが開催中のイベント「Softbank World 2023」。孫正義氏の基調講演に続いて登壇したソフトバンク 代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一氏はこのように述べた。

その“根拠”はある。

テクノロジーが最初に発見・発明されてから、社会実装が始まるまでにかかる時間サイクルの短縮だ。

人類はこれまで3度の産業革命を経てきたとされている。第1次産業革命をもたらしたテクノロジーは蒸気機関だが、宮川氏によると世界初の蒸気機関は紀元前1世紀までさかのぼる。

ギリシャのヘロンが発明した「アイオロスの球」で、蒸気の力を使って球がクルクル回る。「最初は単なる見世物だった」。鉄道、工場など、蒸気機関を動力源に第一次産業革命が起きるまでには、1800年もの時を経る必要があった。

世界初の蒸気機関であるアイオロスの球

世界初の蒸気機関であるアイオロスの球

第2次産業革命を引き起こすことになった電気も、社会実装が本格化するまでには長い年月がかかったが、蒸気機関と比べると大幅に短い。電気の発明は、エジソンによる白熱電球の発明の210年前のことだった。

第3次産業革命の原動力となったコンピューターとインターネットについては、チャールズ・バベッジが世界で初めてプログラム可能な計算機を考案してから、IBMが初の産業用メインフレームを作るまで140年だという。

最初の発明から社会実装の本格化までの時間を大きく短縮していきながらも、長い年月を要していることが分かるが、AIについてはどうだろうか。

米国の計算機科学者であるジョン・マッカーシーが、AIを人間のように考える機械と定義したのは60年以上前のことだ。「もう60年も経っている。いつ爆発的な普及が起きてもおかしくない」と宮川氏は語った。

計算能力の進化も、それを裏付けるという。

AIが人類の知能を超えるシンギュラリティは、かつて2045年に起こると予測された。それは、ムーアの法則に従うと、コンピューターの能力が人間を超えるのが2045年だったからである。

しかし、宮川氏によれば、GPUの登場により、その前提自体が変わっている。

「ムーアの法則では1.5年で2倍進化するが、GPUは3~4カ月で2倍成長し、スピード感が全然違う。このため、2025年には人間の脳をAIが超える状況になってきた。たった2年後だ。あとは、どんなデータを学習させるかで、AGIが出来上がると思う」

第4次産業革命の本格化が間近に迫っているという。

過去の産業革命はいずれも新しいテクノロジーによって引き起こされてきた。そして、AIが生み出す付加価値は過去3度の産業革命と比べても桁違いに大きいという

これまでの産業革命はいずれも新しいテクノロジーによって引き起こされてきた。そして、AIが生み出す付加価値は過去3度の産業革命と比べても桁違いに大きいという

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