IDC Japanは2023年9月28日、国内SD-WAN市場予測を発表した。なお、SD-WAN市場には、SD-WAN関連のハードウェアおよびソフトウェアからなるインフラストラクチャ、マネージドサービス、プロフェッショナルサービスが含まれる。
それによると、2022年の国内SD-WAN市場は、前年から34.8%成長し市場規模(支出額ベース)は117億5100万円となった。2022~2027年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は13.9%で推移し、2027年の市場規模は2022年比で約1.9倍の225億300万円と予測する。
国内SD-WAN市場 支出額予測、2022年~2027年
2022年は、従業員のオフィス回帰が進み、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大(コロナ禍)で定着したWeb会議をはじめとする様々なSaaSアプリケーションのトラフィックが企業拠点内に持ち込まれ、WANの負荷がいっそう高まった。そうしたなか、WANの逼迫を避けるため、SD-WAN機器のローカルブレイクアウト機能によってトラフィック経路を分離する用途での採用が拡大した。
企業規模別に見ると、大企業層では、今後の従業員の働き方、SaaSアプリケーションやクラウドの活用に伴うトラフィックパターンに見通しを持った上で、拠点、クラウド、リモートワーカーをつなぐ企業ネットワークの再構築を進める動きがある。2023年以降は、大企業を中心とするこうした大規模ネットワークを再構築する需要と、SMB(中堅中小企業)を中心とする拠点のローカルブレイクアウトとセキュリティの一体的な運用への需要を背景に、市場の成長が継続するとIDCでは見ている。
IDC Japan Infrastructure & Devicesのシニアマーケットアナリストである水上貴博氏は、「拠点トラフィックの増大というユーザー企業が認識しやすい課題に、費用対効果を高く対処できるローカルブレイクアウトは、SMBだけでなく大企業でも注目され、短期的にSD-WAN市場の成長を牽引している。今後、SD-WAN市場がさらに成長するためには、大企業を中心とする、デジタルファースト時代に適した企業ネットワークを再構築する需要の獲得が不可欠である。SD-WANベンダーやマネージドサービス事業者は、SD-WAN導入の便益はWANの性能強化に留まらず、ビジネスアジリティの向上とデジタル戦略の実行にまで及ぶことを、先進顧客の成功事例をもって訴求することが重要なアプローチとなる」と述べている。