NECとNTTコミュニケーションズは2023年8月3日、製造プラント内で作業員に異常が発生した際に迅速に検知・救出することを目指し、3Dマップとスマートグラスを活用して作業員の位置測位を行う実証実験を実施したと発表した。なお、今回の実証はJFEエンジニアリングの協力のもと、同社の運営する実証用プラント「5G Innovation Plant」で行われた。

実証実験では、製造プラント内の作業員が装着したスマートグラスから目線映像を取得し、事前に作成した3Dマップと照合することで、作業員の位置測位を行った。

今回の実証の構成

具体的には、スマートフォンで事前にプラント内を撮影し、映像データを用いて自己の位置や姿勢の推定と環境地図作成を同時に行う「VSLAM（Visual SLAM）」技術で3Dマップを構築（初回のみ）。プラント内で作業する作業員がスマートグラスを装着し、スマートグラスで目線映像を記録した。その映像から特徴点を捉え、事前に撮影したプラント内の画像から作成した3Dマップと照合することで、GPSやビーコンを使わずに位置測位を行った。

本実証では、スマートグラスを装着した作業員が歩行速度などを意識して巡回したところ、歩行開始から終了まで正確な位置測位ができた。今後、歩行速度によらず正確な位置測位ができるよう、照合精度の向上に向けたチューニングなどの検証を行う。

スマートグラスで撮影した映像から特徴点を捉える様子

また、カメラ目線映像をサーバーに保存しオフライン環境で3Dマップと照合して測位精度を確認した。今後は、3Dマップへカメラ目線映像を直接伝送・照合する仕組みを作ることで、リアルタイムに作業員の位置把握ができるよう準備を進める。

事前に作成したプラント内の地図と移動軌跡

両社は今回の実証で明らかとなった課題を検証し、2023年度末頃の商用化を目指して連携していくとともに、製造プラントにおける安心・安全な環境づくりへの貢献に向けた事業共創を検討していくとしている。