コロナ禍でテレワークが加速し、従業員一人ひとりが自分に適した場所で勤務することが可能になった。また、テレワークと出社を組み合わせたハイブリッドワークを推進する企業も増えている。
従業員の生産性やES(従業員満足度)向上につながるテレワーク・ハイブリッドワークだが、メンバー同士のコミュニケーションをどう活性化させるかという課題は、今後も付きまとう。
この課題を解決するため、NTTグループのXR(クロスリアリティ)領域の中核企業であるNTTコノキューは、メンバーが離れた場所で働いていても、リアルオフィス同等のコミュニケーションが可能なバーチャルオフィスサービス「NTT XR Lounge(エヌティティ エックスアール ラウンジ)」を、2023年6月30日より法人向けに提供を開始。このXR Loungeのメディア向け体験会を8月2日、秋葉原駅構内のXR体験施設「XR BASE」で開催した。
秋葉原駅構内のXR体験施設「XR BASE」
XR Loungeの特徴は、3つある。
1つ目は、スマホ/タブレットに特化したサービスである点だ。「PCでメールや資料作成などの業務を行っていると、コミュニケーションツールがバックグランドにいってしまい、結局誰かに話しかけられても気づかないケースが多い」。NTTコノキュー マーケティング部門 担当部長の清水一郎氏は既存のバーチャルオフィスサービスの課題をこう語った。業務端末とコミュニケーションツールを分けることによって、ユーザビリティを向上させることが同社の狙いだ。
アプリの“軽さ”も売りだ。「従来の3Dアプリだと、ハイエンドな機種でないと動かないケースもある。XR Loungeは、iPhoneであれば8以降で稼働する」(清水氏)。また、Teamsを使った顔出しコミュニケーションを1時間行った場合、データ利用量は1GB程度となるが、XR Lounge(4人利用時)の場合、38MB程度のデータ利用量で済むという。
2つ目は、「3Dアバター」の採用だ。東京都市大学などの研究調査によると、ZoomやTeamsなどのビデオチャットによる顔出しコミュニケーションよりも、3Dアバターを活用したコミュニケーションの方が、他者への自己開示が進むという結果が立証されている。また、外見がユーザー自身と似ていないVRアバターを使用することで、この傾向が顕著になるという。
「日本人は、自分の顔を大きく出して自己表現するというよりも、緩やかに距離を詰めていく傾向があると思っている。この日本人のメンタリティと3Dアバターはマッチしているのではないか」と清水氏は話した。エモートなどの3Dならではの豊かな感情表現を示すことも可能だ。シカやサメといった動物など、多種多様なアバターも用意されている。