KDDIは2011年7月25日、2012年3月期第1四半期(1Q)の決算を発表した。冒頭で田中孝司社長は「業績面では順調。今期は基盤事業の立て直しを目標にしていたが、着実に進捗しており、非常に満足している」と語った。
決算について説明する田中孝司社長 |
決算概要は、連結ベースの営業収益は前年同期比0.1%減の8650億円とほぼ横這いだった。営業利益は同8.4%増の1401億円。通期目標は4750億円であり、進捗率は29.5%となった。営業利益の内訳は、移動通信事業は同8.7%減の1217億円だったが、固定通信事業が前年同期の赤字から219億円改善し、165億円となり、移動通信事業の減少をリカバリーした。
1Qの連結業績 (クリックで拡大、以下同) |
基盤事業の立て直しはまず、auのモメンタム回復を挙げ、「解約率」「MNP」「純増シェア(au+UQ WiMAX)」「データARPU」の4つのKPIを設定している。解約率は前年同期比0.09ポイント改善の0.66%、MNPは2011年3月期の第四四半期(4Q)比2万8000改善のマイナス6万7000、純増シェアは4Q比2.5ポイント上昇の29.8%、データARPUは前年同期比100円増加、4.3%上昇の2400円と、4つとも着実に改善している。
1Qの取り組みのポイント |
1Qはスマートフォンシフトを本格化させた期であり、販売数は66万台だった。田中社長は「震災の影響で一部機種の発売が遅れた。そうしたなかで春商戦の4Q(の61万台)を超える販売台数を確保できたことは、大きな成果」と評価。「2Q以降、ラインナップ拡充を機に、スマートフォンの販売を加速させたい」と述べた。
スマートフォンの販売台数推移 |
基盤事業の立て直しのもう1つは、固定通信事業。1QのFTTHの純増数は4Q比1万9000改善の8万7000だった。田中社長は「もう少し数字が欲しいところだが、直近の数字は十分回復しており、増収増益基調は堅持している」と説明した。具体的には、年度目標に対する進捗率は17%程度だが、これは震災の影響で約1カ月間営業を自粛したり、開通施工がストップしたため。6月以降は回復基調という。2Q以降は、関東地域での「auひかりホーム」の獲得に力を入れるなど、販売体制をさらに強化するほか、全国24都道県に提供エリアを順次拡大していく方針だ。
「auひかりホーム」は7月以降、全国24都道県に順次エリアを拡張していく |
このほかでは、マルチユース、マルチネットワーク、マルチデバイスからなる「3M戦略」については、マルチネットワークの実現に向けて6月30日に開始した「au Wi-Fi SPOT」について説明。2012年3月末を目標に10万スポットを設置する計画の一方で、Wi-Fiの使いにくさ解消のための専用アプリ「au Wi-Fi 接続ツール」の提供などで利用障壁を解消し、データオフロードを促進するとした。
「au Wi-Fi SPOT」は2012年3月末で10万スポットが目標 |
2012年7月までに完了させる予定の800MHz帯周波数再編については、6月末現在の新800MHz帯非対応端末は323万台であり、1Qでの対応端末への移行は117万台だった。田中社長は「着実かつ確実に移行している」と語った。同社では、今年度末までに非対応端末を60万台にまで減らす意向だ。