メッシュ型無線LANで豪雪地でも安定稼働――デジタルデバイド解消に挑むフジミック新潟

山間集落向けに無線インターネットサービスを提供するフジミック新潟。屋外用メッシュ無線装置「BelAir」を採用し、基地局間の中継に長距離無線LANを用いて、豪雪地帯でも安定したサービスを実現した。

都市部のWiFiスポット整備にも

「これまで、さまざまなサービスモデルを提供してきたが、この通信システムの安定性は飛びぬけて良い」と、柳氏のBelAirへの評価は高い。

というのも、前述のエリアはいずれも日本有数の豪雪地帯であり(昨年は6mの積雪を記録)、アンテナは写真のように高所への設置が必須だ。また、障害発生時に駆けつけるのも容易でなく、伝送速度以上に通信の安定性こそが求められる。

BelAirは防水・防塵設計で、バックアップバッテリーも内蔵している。こうした特長が、厳しい環境での運用を可能にしている。今後基地局の増設も検討しているという。

また柳氏は、「これまではデジタルデバイド解消にこの無線LANモデルを活用してきたが、もっと広範囲に適用できるのではないか」と話す。具体例として挙げるのは、市街地でのWiFiスポットの整備だ。BelAirは図表の「ケース2」のようにメッシュネットワークを構築する機能も備えており、これを活用すれば迅速かつ効率的にWiFiスポットを展開できる。

図表 BelAir100とBelAir200の違い
図表 BelAir100とBelAir200の違い

BelAirには、ポイントツーポイントの中継のみ可能なBelAir100と、ポイントツーマルチポイント、マルチポイントツーマルチポイントとしても動作するBelAir200の2機種があり、BelAir200を活用すれば中継地点から先にエリアを拡張してメッシュ型のWiFi網を構築できる。

BelAirの国内総代理店であるソネットによれば、海外ではすでにこの機能を使って広域にWiFiメッシュネットワークを展開している事例が複数あるという。例えば、米国カリフォルニア州のガルト市では30平方キロの市全域をカバーし、8000世帯が利用する無線ブロードバンド網を構築。英国ブリストル市では、主要道路沿いにBelAirを敷設し、無線ホットスポットゾーンを展開している。

スマートフォンの普及によりモバイルインターネットの利用者が急増し、特に都市部では携帯電話網のトラフィック対策が急務になっている。その解決策として、WiFiスポットから固定網へとトラフィックを流すトラフィックオフロードが注目されているが、「BelAirを使ってメッシュネットワークを展開すれば、機動的にWiFiスポットを整備できる」と柳氏は話す。

有線ネットワークと比べた施工の容易性はもちろん、BelAirの安定性も、運営する事業者にとって大きなメリットになるはずだ。

月刊テレコミュニケーション2011年6月号から再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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