メッシュ型無線LANで豪雪地でも安定稼働――デジタルデバイド解消に挑むフジミック新潟

山間集落向けに無線インターネットサービスを提供するフジミック新潟。屋外用メッシュ無線装置「BelAir」を採用し、基地局間の中継に長距離無線LANを用いて、豪雪地帯でも安定したサービスを実現した。

新潟県十日町市に本社を構えるフジミック新潟は、企業・官公庁向けの情報システム開発等のほか、無線ネットワークによるインターネット接続サービス事業に取り組んでいる。

十日町市をはじめ、新潟県内には山間集落や離島など、FTTHやADSLによるブロードバンド環境整備が困難な地域が多数存在する。フジミック新潟は「ブロードバンド・ゼロ地域の解消」を目的に県が実施した整備事業を通して、無線ネットワークを活用した低コストなソリューションモデルを構築。現在、十日町市と、隣接する南魚沼市等の複数地区で無線インターネットサービスを提供中だ。

BelAir BelAir
南魚沼市・後山地区の第一中継地点に設置されているBelAir200。山間地の谷筋に存在する集落で、毎年数mの積雪がある豪雪地帯でもあるため、冬でも雪に埋まらないよう高所に設置されている。ここから集落内の2カ所のBelAir100へさらに無線を中継。受信感度が高く伝播エリアが半径300mと広いのもBelAirの特徴で、計3つのアンテナを高所に設置することで集落内の広い部分を無線LANエリア化している

「事業化できたのは1社だけ」

フジミック新潟は2006年にスタートした「次世代無線ブロードバンド新潟モデル調査研究会」の実証実験において、他事業者が地域WiMAXを推進するなかで、中継回線とアクセス回線に無線LANを採用した2タイプのモデルの検証を行った。

無線インフラの構築の主力として、BelAir Networks製の屋外用無線装置「BelAir(ベルエア)」を採用した。同装置は、バックホールアンテナとアクセス用アンテナを内蔵し、装置間の中継には5GHz帯無線を、装置と端末間には2.4GHz帯の無線電波を使用する。中継回線とアクセス回線に異なる周波数帯を用いることで干渉を防ぎ、装置間では約30Mbpsの通信が可能だ。

フジミック新潟社屋の屋上に設置したBelAirから5キロ程度離れた集落内までを2.4GHz長距離無線LANとBelAirの5GHzバックホール通信の2方式で中継。そこからさらに山間部に点在する複数の集落に電波を振り分けるシステムを構築した。同社開発統括センター長・取締役の柳十四男氏は「豪雪地帯なので、5GHz帯の中継に関して大雪の影響も心配されたが、ほぼ問題なく運用できた。BelAirの安定性の高さを実感した」と当時を振り返る。

フジミック新潟開発統括センター長・取締役の柳十四男氏
フジミック新潟 開発統括センター長・取締役の柳十四男氏

この調査研究を受け、08年には新潟県によるブロードバンド空白地帯解消事業がスタート。県が推奨していた地域WiMAXモデルを同社も一部地域で検討していたが、製品の未熟さや小規模モデルへのWiMAX利用の難しさが判明し、全地域で無線LAN方式を採用することを決断し、最終的に「事業として成立したのは当社が手掛けたエリアだけ」という結果となった。装置供給の安定性のほか、採算面においても長距離無線LANを中継回線に用いるモデルが優位性を発揮したようだ。

現在は十日町市のほか、魚沼市の福山新田、南魚沼市の後山と辻又の計3地区で無線インターネットサービスを提供している。このうち、樹木等の障害が多くメッシュモデルが有効な後山で主力モデルのBelAirを採用。ユーザー数が少ない辻又と他事業者から引き継いだ福山新田では同社独自の無線LANモデルを採用しているが、柳氏はその後の保守性などから考えると「すべてBelAirに統一したほうが運用管理が簡単であったと思われる」と話す。

月刊テレコミュニケーション2011年6月号から再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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